東京大学の「ソーシャルビジネスのためのチームビルディング」というゼミとは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(2841)】
ヤマガラ(写真1)、アオジの雄(写真2)、雌(写真3)、ジョウビタキの雄(写真4、5)、ツグミ(写真6)をカメラに収めました。凍った池面を歩くオオバン(写真7、8)が何度もすっ転びそうになりました。ロウバイ(写真9)、ソシンロウバイ(10)、ウメ(写真11、12)が芳香を漂わせています。
閑話休題、『いつかリーダーになる君たちへ――東大人気講義チームビルディングのレッスン』(安部敏樹著、坂口菊恵監修、日経BP社)は、著者が主導する東京大学教養学部の「ソーシャルビジネスのためのチームビルディング」というゼミの内容に基づいています。
「ソーシャルビジネスとは、貧困や地域活性化、子育て支援、環境保護などの社会問題について、ビジネスの手法を活用して取り組むもの。・・・一般的なビジネスよりも、ソーシャルビジネスのほうがチームの運営が難しいという事実もあります。利益を上げることよりも社会問題を解決することが目的であり、少人数のチームになることも多く、ボランティアなど無給のメンバーで取り組んだりすることもあります。効率よく成果を上げたり、さまざまなメンバーのモチベーションを維持したりすることが求められるのです、そのため、ここでチームづくりを学べば、ほかの分野でも通用するといえるでしょう」。
「授業では、チームづくりについて学ぶために、ディスカッションやブレインストーミング、プレゼンテーションなどの『グループワーク』を実践しつつ、自分たちが興味のある社会問題を選んで、半年かけて取り組んでもらいました。調査したり、現場でヒアリングしたりした結果をまとめ、その社会問題を解決するためのビジネスプランを立て、みんなの前で発表するのです。これまでに、ゼミを通して成立したビジネスプランは30以上あります。そのうちいくつかのプランは、その社会問題を解決するたに、ゼミのあとも、チームの活動が続けられました」。
このゼミのグランドルールが6つ挙げられています。
①議論に積極的に参加する。
②属人的な議論をしない、属事的であれ。
③発言の意図を明確に。
④準備不足でした、という言い訳はやめよう。
⑤そんなの無理だ、とは言わない。
⑥自分ができていなくても批判をする。
それぞれの技法について、具体的なアドヴァイスがなされています。例えば、●「プレゼンテーション――伝える力を磨く」では、「ストーリーを練る」、●「ブレインストーミング――批判厳禁、質より量」では、「①批判厳禁(いまは発散のとき)、②自由奔放(実現性は気にしない)、③質より量(とにかくたくさん出す)、④結合改善(人のアイデアをパクるのもOK)」、●「ファシリテーション――思いやりで意見を引き出す」では、「ファシリテーションが担う役割には主に3つあって、それは『合意形成』、『相互理解』、そして『創発』です。創発というのは、要するに新しい知識や発見が得られることです」――といった具合です。
本書の後半では、チームビルディングの実践方法が具体的に解説されています。
東大生になったつもりで勉強する価値は、かなり大きいと考えます。