自分の中の「他者」との付き合い方とは・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3194)】
早朝――昨夜の初雪の名残(写真1)。ベニマシコの雄(写真2~5)、ジョウビタキの雄(写真6、7)、カワラヒワ(写真8)、モズの雄(写真9)、アオジの雄(写真10~12)、雌(写真13)、ツグミ(写真14)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は11,509でした。
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閑話休題、書評集『大人のための文学「再」入門』(都甲幸治著、立東舎)のおかげで、読みたい本が3冊見つかりました。
●弱さこそ恵みとなる詩の原理――ジェラール・マセ『つれづれ草』『帝国の地図』
「なにしろ近代の権化たるデカルトすら、マセによればこうなる。午前中は寝床から出ずに瞑想に耽る。昼間はだらだら過ごして。研究は何ヶ月も進まない。かつて『方法序説』を読んだとき、僕が最も好きだったのもこのくだりだった。マセが説いているのは、詩の原理の重要性だろう。そこでは弱さこそが恵みである。なにしろ人付き合いが下手で、何年も部屋から出てこなかったプルーストは、自分の恐怖心を才能に変えて『失われた時を求めて』を書き上げたのだから。本書では、偉人も文豪も蟻も同じ価値を持つ。そしてマセの優しい視線の中で、魅力的な存在として浮かび上がってくる。だから本書を読んだあと、世界が少しだけ違って見える」。
●語学で鍛えた想像力が「教養」に――黒田龍之助『物語を忘れた外国語』
「近年、語学教育における文学の講読は人気がない。シェイクスピアなんて読んで何の役に立つの。そこで黒田は反論する。すぐ役に立つことはすぐ古びるよ。むしろ一見役に立たないことのほうが大事じゃないかな。・・・では何を選べば良いのか。『自分にしっくりくる』ものを選ぼうよ。このシンプルな答えに僕は納得した。もちろん、自分を大事にできなきゃ、人も大事にできはしない。黒田の語学論はそのまま、深い文明論でもある」。
●自分の中の「他者」と付き合う――伊藤亜紗『記憶する体』
「起きられない。とにかく痛い。今まで使っていた体が突然、意思に従わなくなる。そうした体とどう付き合えばいいのか。本書で伊藤は考える。登場する人物は様々だ。そしてその多くが、体の機能や部位を中途で失っている。まずやって来るのは絶望だ。だが、生きることを選んだとき、彼らの探求は始まる。それでもできることは何か。心をどう持っていけばいいのか。・・・他人は思い通りにならないことは僕らも知っている。でも、自分だって思い通りにはならない。意欲はなかなか湧かないし、記憶は勝手に甦る。面倒くさいことこの上ないけど、この体に生まれてきた以上、どうにか付き合っていくしかない。だからよく観察する。お願いする。少しでもできたら大いに褒める。なんだ、これって他人との付き合い方と一緒じゃないか。人に寛容になるには、まず自分に寛容になること。この本を読んで納得できた」。
著者・都甲幸治の書評を読んで納得できました。