第二次世界大戦中の1940年、フランス軍がナチスに大敗したのは、なぜか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3208)】
ツグミ(写真1)、ヒヨドリ(写真2)をカメラに収めました。ススキ(写真3~5)の枯れた穂が風に揺れています。ラクウショウ(写真6)の気根(呼吸根)が目を惹きます。
閑話休題、エッセイ集『LINEブログに綴った「65歳の歩き方」』(相川浩之著、ジャーナリストの魂出版)で魅力的に言及されている『奇妙な敗北――1940年の証言』(マルク・ブロック著、平野千果子訳、岩波書店)を手にしました。
1944年、ナチスに対するレジスタンス活動を行っていたマルク・ブロックは、ゲシュタポに逮捕され、拷問され、銃殺されてしまいます。著名な歴史学者であるブロックは、自らがフランス軍大尉として従軍した第二次世界大戦中の1940年のフランス軍大敗の原因について考察・分析した結果を発表します。それが祖国愛溢れる本書です。
「ブロックは、前例のない敗北の直接の原因を明らかにし解析した最初の人物である。それは『指揮の無能』であった。1940年の敗北は、まず軍事的な敗北であった。しかも、はじめに人びとが信じたがったのとは異なって、フランスとイギリスが配備した兵力と軍備が数の上で劣っていたからではなく、知性の面で、そして行政の面で破綻していたゆえの敗北であった。行政面での破綻についてのブロック大尉の証言は貴重であり、多くの体系的な研究によって今日では補完されている。膨大な量の無用な書類、連絡や情報についての組織化のまずさ、等級や階級の細分化、上位からの命令の断片化、部局や指揮官の競争意識、現実の規律とは無関係な『訓練』の日常化、『もめ事』への恐怖と制裁への反感、責任感の消滅、等々。これらすべてに容赦なく言及されているが、部分的には知性の面での怠慢に由来することであり、この点について明らかにしたのもブロックが最初である。すなわち防衛戦という教義にこだわったために、思考が停止してしまった点である」。
現代のさまざまな組織に対する忠告としても貴重な著作です。