北方謙三は、三国時代の真の英雄は曹操と認めている・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3209)】
ルリビタキの雄の若鳥と思われる個体(写真1~4)、ハクセキレイ(写真5、6)、ツグミ(写真7、8)をカメラに収めました。大好きなミドリシジミの仲間の標本(写真9)が飾られています。サザンカ(写真10、11)が咲いています。我が家の餌台「空中楽園」には、毎日、メジロ(写真12)がやって来ます。
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閑話休題、『三国志演義』でなく正史『三国志』を重視する立場に立つ私にとって、『三国志演義』の流れを汲む北方版『三国志』を完成させた北方謙三が、三国時代をどう考えているのかは大いに興味のあるところです。
『三国志読本――北方三国志別巻』(北方謙三監修、角川春樹事務所・時代小説文庫)の中のインタヴューで、北方はこう答えています。
「僕は、三国時代の中での本当の英雄というのは、曹操だったとしか思えないんだ。『正史三国志』を読んだって。曹操は歴史を作り、流れを作り、ただ運がなかった」。
「現実問題として『正史』を綿密に分析すると、(劉備より)曹操の方が総合的な人格、全体性を持っている人格という形で、やはり指導者としての資質としては一枚も二枚も上でしょう。曹操の方がね、人の使い方がうまい。これはもう、圧倒的ですよ」。
「(曹操は)単なる侵略者ではなくて、国家観を持った、乱戦に生きた英雄としてきちんと書けたし、乱世の中で自分の資質を生かした人間として書けた、と思います、曹操に関しては、思い残すことないです」。
北方は史実の曹操を高く評価しているのです。「僕は、三国時代の中での本当の英雄というのは、曹操だったとしか思えない。覇者としての教養も備わっていた。赤壁で勝っていれば、曹操が帝として立ち、漢王室が腐敗し混乱したものを制圧して新しい国を作ったのが、曹操ということになったと思う」。
本書では、曹操の詩の実力も高く評価されています。「当時の支配者であった曹操が自らサロンを作り、そこに七子を代表とする文学者が集まり建安文壇とも言うべき時代を築き、曹丕(曹操の息子)という理論家が文学的意義を体系化し、曹植(曹操の息子)という全身詩人とも言うべき天才が完成させる。奇跡とも言える適材適所の役割分担で、この時代は後世『建安の風骨』と呼ばれ、唐詩に次いで漢詩の歴史にとって重大な時代となった」。
本書が曹操を一番高く評価している点には満足しているが、司馬懿の尋常ならぬ性的設定と低評価には賛同しかねます。