インフレーション理論は、まだ確立しているわけではないんだって・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3320)】
【読書の森 2024年5月15日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3320)
東京・千代田の東京国際フォーラムでコンサートを楽しみました。フォーラムは新緑のイロハモミジ(写真1~3)に包まれています。ベニバナトチノキ(写真4)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は11,683でした。
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閑話休題、『宇宙とは何か』(松原隆彦著、SB新書)のおかげで、宇宙論について理解を深めることができました。
ポイントを私なりに整理してみましょう。
●「ビッグバン理論」では説明の苦しい点を解決する形で出てきた「インフレーション理論」は、まだ確立しているわけではない。現在は多数の「インフレーション理論」が並び立っている状態である。
●「インフレーション理論」の中には、宇宙が複数あるという考え方の「マルチバース論」(「多宇宙論」)がある。
●「インフレーション理論」の中には、粒子を点ではなく「ひも(のようなもの)」と捉える「ストリング理論」(「超ひも理論」、「超弦理論」)がある。「ストリング理論」をさらに先に進めるには、この宇宙が3次元空間では無理だということがわかっている。空間9次元に時間1次元の10次元(見方によっては11次元)世界であるとしないと理論が破綻してしまう。
ややこしいなあ。結局、どの理論が正しいのか?との問いに、著者からは、「マルチバースの姿は、いずれも観測でわかるような話ではありません。どれも可能性を否定できないという段階であり、どれが正しいのか決められないのです。論理的に矛盾があれば『これは違う』とわかりますが、どれも矛盾はしていません。否定できないモデルが並び立っている状態なんです」と、何とも煮え切らない答えが返ってきます。この正直な答えに著者の誠実さが表れていて、好感が持てます。