最愛の妻が「致死性脳劣化症候群」と告知されたら、あなたならどうする?・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3395)】
【読書の森 2024年7月30日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3395)
シャグマユリ(別名:トリトマ、学名:クニフォフィア・ウヴァリア。写真1、2)が咲いています。
閑話休題、『ストーリー・セラー』(有川浩著、幻冬舎文庫)は、深く愛し合っている夫婦が究極の選択を迫られる物語です。
「彼女」は「書ける側」・「書く側」の売れっ子作家、「彼」は「書けない側」・「読む側」の読書大好き人間で、彼女の作品の熱烈なファンという関係にある、何とも幸福な夫婦です。自分の作品に自信が持てなかった彼女に小説誌の小説賞に応募するよう説得し、その結果、引く手数多の流行作家となった彼女を、彼は強力にサポートし続けます。彼女は、自分の作品の一番のファンである彼に読んでもらいたい、喜んでもらいたいと、小説を書き続けます。
その最中、彼女が「致死性脳劣化症候群」と宣告されてしまったのです。思考に脳を使えば使うほど脳が劣化する、思考することと引き替えに寿命を失っていくという、作家にとっては、文字どおり致命的な疾患です。
悩んだ末に、二人が下した結論は・・・。
本書の後半には、妻が夫のために書き遺した最後の小説が収められています。