榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

エマニュエル・レヴィナスの言い草に驚嘆・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3445)】

【読書の森 2024年9月18日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3445)

我が家の庭の片隅で、ホトトギスがひっそりと咲いています。

閑話休題、某識者が25年近く人生の師と仰いでいるというエマニュエル・レヴィナスの哲学書『困難な自由(増補版・定本全訳)』(エマニュエル・レヴィナス著、合田正人監訳、三浦直希訳、法政大学出版局)を手にしました。

どういう哲学なのか気になったからです。

読み進めていったところ、衝撃を受けました。

そこには、こう記されていたからです。「アラブの諸国民は、ドイツの残虐非道に責任を持つ必要はなく、彼らの土地をヒトラー主義の犠牲者たちに譲る必要もないというのか!・・・(アラブ難民たちの)郷土の呼び声は、世の終わりまで鳴り響くアウシュヴィッツの叫び声を沈黙させることができるのか。人間のうちの誰が、煙となって消えたあの肉体すべてに対する責任を免れうるのか。・・・アラブの諸国民の側からイスラエルへと承認の身振りがもたらされれば、難民問題を解決するような兄弟愛の発露が間違いなく応答するであろう。・・・イスラエル国境の両側で、もし剣を砕いて鋤の刃とし、戦車をトラクターに変えるならば、世界はそこから生まれる新たな可能性に驚嘆するであろう。寸土の切除によって、アラブ人が住む広大な空間はその壮大な広がりをいささかでも失うのか。アラブ人の『祖国』はその中心を失うのか」。

レヴィナスは「世界はそこから生まれる新たな可能性に驚嘆するであろう」と書いているが、この一節にぶち当たって驚嘆したのは世界ではなく、私だ! 偉大な哲学者か何か知らんが、このとんでもない言い草には大大大大大大大大大大大大大反対だ!!!!!!!!!!!!!