西アジアにアッシリア帝国という人類史上最古の帝国があった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3474)】
【読書の森 2024年10月14日号】
情熱的読書人篇のないしょ話(3474)
昆虫の専門家・柳澤勉氏の情報のおかげで、ソテツ(写真1)の並木道で、南方系のクロマダラソテツシジミを2時間に亘り、じっくり観察することができました。クロマダラソテツシジミの雄(写真2~8)、雌(写真9、10)、1時間以上続いた交尾(写真11、12。上が雌)、交尾中のカップルに何度となく近づく雄(写真13。下の右)、卵(写真14)をカメラに収めました。
閑話休題、『アッシリア 人類最古の帝国』(山田重郎著、ちくま新書)のおかげで、アッシリア帝国の全体像を俯瞰することができました。
本書には、アッシリアの歴史、社会、行政、法、文学、技術、宗教、思想などに関する近年の研究成果がふんだんに盛り込まれています。
●西アジアにおける前2千年紀初頭の都市国家アッシュルの成立から前14世紀の領域国家アッシリアの誕生、そして前8~7世紀にはアッシリア帝国として最盛期を迎えるが、それから100年ほどで滅亡してしまう。
●アッシリア帝国は、アケメネス朝ペルシアに先立って古代西アジアを統一した人類史上最古の帝国である。
●北メソポタミアの新興国アッシリアの南には、前18世紀から大国としての地位を堅持してきた伝統国バビロニア王国があった。やがてアッシリアはバビロニアを統治下に収めるが、このバビロニアの反乱がアッシリアを前609年に滅亡させることになる。著者は、アッシリアの滅亡は、統治と行政の混乱、国家体制の動揺、経済的困難、外敵による攻撃といった要因が複合的に作用した結果と考えている。
●旧約聖書は、アッシリアによる北イスラエル王国の滅亡とユダ王国の首都エルサレムの包囲、そしてその後のアッシリアの滅亡について記している。