榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

江戸時代の思想が現代に至るまで強い影響を与えている・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3572)】

【読書の森 2025年1月14日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3572)

シジュウカラ(写真1)、カワラヒワ(写真2)、ツグミ(写真3)、カワウ(写真4~6)、アオサギ(写真7)をカメラに収めました。因みに、本日の歩数は11,616でした。

閑話休題、『戦う江戸思想――「日本」は江戸時代につくられた』(大場一央著、ミネルヴァ書房)の著者は、江戸時代の思想が現代に至るまで強い影響を与えていると強調しています。

その思想が主要人物を中心に解説されています。

個人的に、とりわけ興味深いのは、●朱子学と陽明学、●古学、●福沢諭吉・渋沢栄一と儒教――の3つです。

●朱子学と陽明学
朱子学が広まるにつれ、儒学者の中には朱子学を純粋化しようとする動きと、朱子学から離れようとする動きが表れます。朱子学を純粋化したのは山崎闇斎です。これに対し、朱子学から陽明学が分離する動きが起こります。最も早い陽明学者として知られるのは、中江藤樹です。「全時空を貫く最高の徳として『孝』を説き、人々が生活の中で心を養っていく中で、全世界の調和を実現しようとした点で、全く独創的かつ日本独自の思想を確立していった」。熊沢蕃山は藤樹の弟子です。

●古学
朱子学に反発して古代に帰るよう主張した古学は、伊藤仁斎が提唱した古義学と、荻生徂徠が創始した古文辞学が中心です。「両者(古義学と古文辞学)は朱子学の持つパラダイムの中で、その一部に特化した、近世的な思想であったと見るのが妥当なのである」。

●福沢諭吉・渋沢栄一と儒教
「福沢は、英語も漢文もあまり得意ではなかったと言われるが、英語はさておき、儒教に関しては、基本的な思想理解があまりなかった可能性が高い」。

「福沢と同様、その(儒教の)思想理解は本質的なものではない。渋沢にとって儒教は、西洋的な公共精神の代わりとすることに価値があったのである」。