読み終わる直前に、くらくらと眩暈がしてしまいました・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3662)】
【読書の森 2025年4月13日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3662)
ヤマブキ(写真1、2)、ヤエヤマブキ(写真3、4)、シロヤマブキ(写真5、6)が咲いています。
閑話休題、1932年のアメリカ映画、グレタ・ガルボ主演の『グランド・ホテル』の様式を借りた『ヴィクトリアン・ホテル』(下村敦史著、実業之日本社文庫)は、読み終わる直前に、くらくらと眩暈がしてしまいました。
ヴィクトリアン・ホテルという都内の一等地の超高級ホテルが、その歴史を閉じる前日、このホテルを舞台に、さまざまな人生が交錯します。
SNSによる批判に悩み一時休業を発表し、お忍びで宿泊する一流女優。置き引きや窃盗の常習犯で、このホテルで無賃豪遊を企む落ちこぼれ男。伝統ある文学賞を受賞し、緊張しながら授賞式に臨む若手作家。番組に出してほしいと言い寄ってくる女優の卵との情事を楽しむ、各テレビ局の番組スポンサー企業の宣伝部の幹部。親友の連帯保証人になったせいで弁当屋の店も土地も失い借金まで背負ってしまい、心中を決意し、最後の思い出作りに訪れた夫婦。これらの人物と、彼らを巡る人物たちの渦巻く人生模様が臨場感豊かに描かれていきます。
ページの随所から、「思いやりでさえ人を傷つける」、「優しさに呪われるな」、「人生には時として自分の価値観を変えてくれる相手に巡り合うことがある。そんなときは格好つけずに捕まえろ」という著者のメッセージが伝わってきます。
ところが、もうすぐ読み終わるという段階に至り、何がどうなっているのか、理解が追いつかなくなってしまったのです。頭の中がぐちゃぐちゃになってしまったのは、私の読解力が未熟なのでしょうか。