榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

岩崎彌太郎の長男・久彌の評伝・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3782)】

【読書の森 2025年7月31日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3782)

バスの停留所で行き合った男性から、着用していたファン付き作業着について、実演を交えたレクチャーを受けることができました。酷暑の野外での生物観察には必需品かも。

閑話休題、『雲がゆき、雲がひらけて――岩崎久彌物語』の岩崎久彌は、三菱財閥の基礎を築いた岩崎彌太郎の長男です。

彌太郎の長男で三菱の3代社長ということぐらいの知識しかなかったが、本書のおかげで、いろいろなことを知ることができました。

●彌太郎の死後は弟の岩崎彌之助が2代社長、3代が久彌、4代は彌之助の長男の岩崎小彌太と、いずれもスムーズに社長交代が行われた。
●久彌は、彌之助の後を継ぎ成長期の一大企業集団を統率したが、若い頃から決して驕らず、他者への配慮を忘れない経営者だった。
●久彌は、不忍池に程近い茅野本邸の日本家屋部分に住み、家族との生活を大切にした。茅野本邸は、現在は東京都に移管され、「旧岩崎邸庭園」として一般に公開されている。
●久彌は、G・E・モリソンの膨大な蔵書を買い入れ、東洋文庫を設立した。
●久彌は、彌太郎が買い上げた2つの屋敷を東京市に寄付した。清澄庭園と六義園である。
●久彌は、小岩井農場を発展させた。
●敗戦後、エリザベス・サンダースホームを開設して混血孤児たちを救済した澤田美喜は久彌の長女である。