榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

独裁国家の厳めしい女性最高幹部が国家の転覆を企てているとは!・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3805)】

【読書の森 2025年8月23日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3805)

地元のリフォーム会社「ハウジング重兵衛」の「大感謝祭2025夏」で楽しい一時を過ごしました。工作が大の苦手な私が、「職人体験ができる! 木工教室」で、多能工職人の指導よろしきを得て、小さな椅子を作ることができました(持ち帰りOK)。今春、「ハウジング重兵衛」に発注した断熱・防犯用の内窓、防犯用の玄関ドア、防犯灯の期待を上回る効用には大満足しています。

閑話休題、『誓願』(マーガレット・アトウッド著、鴻巣友季子訳、ハヤカワepi文庫)は、魅力溢れる傑作です。

アメリカ合衆国に軍事クーデターで成立した神権独裁国家、ギレアデ共和国では極端な男尊女卑が徹底され、女性は4つの階級――1番目は、女性隔離社会の指導・教育者であり幹部階級である「小母」、2番目は、支配階級「司令官」または「平民男性」の「妻」、および「妻」候補、3番目は、子供を産む見込みがなく手仕事に秀でている女中役の「マーサ」、4番目は、「ふしだら」と目され、かつ出産の見込みがある「侍女」の烙印を押された女性――に分類されます。

正篇の『侍女の物語』は、一人の侍女オヴフレッドの視点で語られています。その15年後が描かれる続篇の『誓願』では、3人の語り手――ギレアデの女性社会の最高指導者であるリディア小母、地位の高い司令官の娘アグネス、隣国カナダのトロントで古着屋の夫婦のもとに育ったデイジー ――によって交互に物語られていきます。

ネタバレになりかねないが、『侍女の物語』を読んでから『誓願』を読んだ読者は、腰を抜かすことでしょう。なぜなら、『侍女の物語』では侍女たちを痛めつける恐ろしい教育係として異彩を放っていたリディア小母が、『誓願』では、何と、腐敗した独裁国家を転覆させようと密かに企てているからです。

リディア小母の企みにアグネスとデイジーが協力する過程は、ハラハラドキドキの連続で、まるで冒険物語の乗りです。彼女たちの願いは実現するのでしょうか。

女性蔑視(ミソジニー)、独裁と腐敗、組織における微妙な人間関係――を考えさせながら、私たちをこれほどハラハラドキドキさせるとは! マーガレット・アトウッドという作家の力量には脱帽あるのみです。