戦後の日本は、ひと握りの「ムショ仲間」によって支配されてきた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3806)】
『巣鴨プリズンから帰ってきた男たち――A級戦犯たちの戦後史』(中川右介著、清談社Publico)のおかげで、A級戦犯たちについて多くのことを知ることができました。
●戦後の日本は、ひと握りの「ムショ仲間」によって支配されてきた。この「ムショ」は巣鴨プリズンを指している。
●占領軍によってA級戦犯と指名され、極東軍事裁判で判決を受けたのは25名で、7名が絞首刑、16名が終身禁固刑、1名が禁錮20年、1名が禁錮7年であった。
●終身刑とされた人々も1950年代前半までには釈放されて復権した結果、いったんは社会的に抹殺されたはずの戦前の政財官界の大物たちが戦後も日本を支配していくことになる。
●その「ムショ帰り」たちの出世頭が、後に首相にまで上り詰める岸信介である。
●多くの国民の命と財産が喪われ、国土の荒廃をもたらした戦争を始めた人々のうち、ごく一部が処罰されただけで、それ以外は復権して戦前同様に支配者であり続けたわけである。
●「ムショ帰り」の一人、読売新聞社の社主である正力松太郎は自民党の衆議院議員であり、読売新聞は自民党の広報紙の役割を担っている。
●岸信介と吉田茂は敵対しているように見えるが、実は親戚である。岸も吉田も本質的には官僚であり、国家を重視し、国民を軽視する点では同じだ。そもそも親族の結婚を通じて親戚になっているのは、二人が同じ社会的階層、すなわち官僚出身のエスタブリッシュメントの中にいることを図らずも証明している。
●戦前・戦中に権力の中枢にいた巣鴨大学卒業生たちは、以後も政官財界に影響力を保ち続けている。
この著者特有の資料に語らせる手法が、「巣鴨プリズンを土壌とした日本の闇はまだ終わらない」ことを雄弁に物語っています。著者・中川右介の怒りがひしひしと伝わってくる一冊です。