美しい蝶のような少年たちを次々に殺害し、蝶に擬した人間標本にしてしまった私・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3837)】
【読書の森 2025年9月24日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3837)
ヤマハギ(写真1、2)が咲いています。ヤマハギで吸蜜しようと、ツバメシジミ(写真3~5)、その雄(写真6)、ルリシジミの雄(写真7)、チャバネセセリ(写真8)、キタキチョウ(写真9)らが集合しています。
閑話休題、『人間標本』(湊かなえ著、KADOKAWA)は、蝶に魅入られ、蝶の分野においては権威と呼ばれ、教授の職を得た「私」が、美しい蝶のような少年たちを次々に殺害し、蝶に擬した人間標本にしてしまったという異常極まる物語です。
しかも、それぞれの標本について、レテノールモルフォ、ヒューイットソンミイロタテハ、アカネシロチョウなど擬せられた蝶の学術的な解説、「作品の展示形態」、「撮影方法」、「作製意図・観察日記」が詳細に記され、写真も添えられているという念の入れようです。
滅多にいないが、世の中には極たまに、こういう異常心理の持ち主も現れるのかと、眉を顰めました。
未成年男性6人死体遺棄事件の犯人と名乗る男、すなわち私が出頭したことで一件落着かと思ったら、とんでもない、この後に、どんでん返し、また、どんでん返し、さらに、どんでん返しが待ち構えていたのです。もう誰も信じられない不信感の塊になってしまいました。
こういう読者を翻弄する作品を考え出すとは、この作者の頭の中はどうなっているのでしょうか。