君は、丹波国で暴れ回り、「丹波の赤鬼」と恐れられた戦国武将がいたことを知っているか・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3878)】
【読書の森 2025年11月4日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3878)
我が家の庭師(女房)から、ナンテンが実を付けているわよ、との報告あり。


閑話休題、君は、丹波国で暴れ回り、「丹波の赤鬼」と恐れられた戦国武将がいたことを知っているか。歴史にはそこそこ詳しいと自惚れていた私は見事に鼻をへし折られました。『黒井城燃ゆ――戦国の知将 明智光秀を破った丹波の赤鬼 悪右衛門の生涯』(瞬那浩人著、SHS企画)で、初めて荻野直正という人物の存在を知ったからです。
丹波国は京に隣接しているため、国盗り合戦を展開する戦国大名たちにとって地政学上、重要な位置を占めています。丹波を本拠地とする、一族の赤井家の実質的な惣領である荻野直正は、あらゆる手段を弄して強大な権力に立ち向かっていきます。
織田家中随一の出世頭、明智光秀が織田信長の命を受け、丹波攻略に取りかかります。直正が籠城する黒井城を包囲してから2カ月後の天正4(1576)年1月15日、遂に光秀が三方から一斉攻撃を仕掛けます。
兵数で勝る光秀が勝利は決定的と思えたまさにその時、味方のはずの波多野軍の裏切りに遭い、明智軍は総崩れ。光秀は命からがら逃げに逃げるしかなかったのです。
しかし、この後、直正たちは信長に詫びを入れ、光秀配下に組み込まれます。
天正7(1579)年、対毛利戦への援軍を出さなかったことに激怒した信長の命を受けた光秀に攻められ、黒井城は落城します。
「食うか食われるか、この戦乱の世で、勝負は時の運よ」と嘯いた直正に、長らく企業にあって企業間の業績競争、社内の出世競争に明け暮れてきた私は、共感を覚えてしまいました。
