榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

永田鉄山の「国家総動員論」に真っ向から対抗した美濃部達吉の「天皇機関説」・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3966)】

【読書の森 2026年1月23日号】 情熱的読書人間のないしょ話(3966)

陸軍切っての頭脳優秀な戦略家といわれた永田鉄山がどういう理論を構築し実行しようとしていたのか知りたくて、『永田鉄山の総力戦』(川田稔著、文春新書)を手にしました。

本書のおかげで、第一次世界大戦の次の世界大戦は不可避と考えていた永田の「国家総動員論」の全体像を知ることができました。

それだけでなく、永田の「国家総動員論」に真っ向から対抗した美濃部達吉の「天皇機関説」についても、理解を深めることができました。

美濃部はこのように述べています。<現代の国家は、決して単に戦闘団体としてのみ存在するものではなく、同時に国民の福利を全うするための団体であり、・・・国民は単に国家の戦闘力を構成するための手段たるにとどまるものではなく、人間として各個人がそれ自身に、自己の生存を主張しうる価値ある者として認められている>。永田の国家総動員論は天皇を中心とするものであり、国家主権の建前をとる美濃部の天皇機関説とは、根本的に相容れないものだったのです。

当時、昭和天皇は次のような発言をしています。<機関説で良いではないか。元首という言葉も機関説を前提にしている>、<美濃部を不忠の臣であるかのようにいうのはおかしい>。昭和天皇自身は天皇機関説に肯定的だったのです。

私も美濃部の「天皇機関説」に軍配を上げます。