紫式部の<清少納言こそ、したり顔で、とんでもない人でございました>という悪口・・・【情熱的読書人間のないしょ話(3992)】
【読書の森 2026年2月17日号】
情熱的読書人間のないしょ話(3992)
桃の節句が近づいてきましたね。





閑話休題、『黒い古典――日本人が必要とした悪の力』(大塚ひかり著、淡交社)には、著者が言うところの「ともすると、へなへなとなりがちな自分を励ます意味でも、捨てゼリフやら、忖度なしの悪口やら、『悪』寄りの名ゼリフ」が集められています。
個人的に、とりわけ興味深いのは、●紫式部の<清少納言こそ、したり顔で、とんでもない人でございました>、●鴨長明の<年はどんどん取る一方、住みかは引っ越すたびに狭くなる>、●『梁塵秘抄』の、ある女の<私を信用させておきながら来ない男は、角(つの)が三つはえた鬼になれ。それで人に嫌われろ。霜や雪、霰の降る水田の鳥になれ。それで足が冷たくなれ。池の浮き草になって、あっちに揺られこっちに揺られてふらふらしろ>――の3つです。
●紫式部
一目置いているからこその悪口。私だって、あなたのように自由奔放に振る舞いたかった。そんな心の叫びに裏打ちされた罵詈雑言のように思えてくる。愛と憎しみは隣り合わせとよく言うが、紫式部の罵詈雑言は、清少納言への強い執着や思いを感じさせる。
●鴨長明
年は取るわ、家は狭くなるわ、けどまぁ狭いのもいいもんですよ、という悟りきってない感じが心地よい。長明って、右肩下がりが当たり前という世界から来た大先輩みたいで、頼もしいんですよね。
●ある女
私を裏切った男は鬼になって嫌われろ! この歌は、思い通りにならない男を呪っている。不実な男がいたら、『梁塵秘抄』よろしく、呪いめいた歌を作ってみるというのは、むしろ推奨したいくらいだと思うのであるが、いかがだろう。
