日本列島における後期旧石器文化の成立とは、ユーラシア大陸の西端で分かれた北回りと南回りの系譜が、東端の最果ての地において再び合流する過程であった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(4016)】
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閑話休題、『南回り、北回りの遭遇、列島のホモ・サピエンス――新・日本旧石器文化の成立』(国武貞克・佐藤宏之著、朝日選書)のおかげで、日本列島の旧石器時代の最新知識に触れることができました。
●考古学では、旧石器時代を前期旧石器時代(250万~20万年前)・中期旧石器時代(20万~4万年前)・後期旧石器時代(4万~1万2000年前)の3時期に区分している。
●列島では、3万8000年前以降を新人ホモ・サピエンスが主人公となった後期旧石器時代と考えている。
●新人ホモ・サピエンスの列島への拡散が複数回に及んだことは確実であろう。早期新人ホモ・サピエンスが、当時大陸の東海岸の一部であった古朝鮮半島から列島へ拡散したことは十分予想でき、それを1回のみに限る根拠はない。重要なことは、当時の古朝鮮半島が北回りと南回りのいずれも受容可能な地域であった点にある。おそらく新人ホモ・サピエンスは後期旧石器時代以前(中期旧石器時代後半から末期、5万5000~3万8000年前)に複数回拡散する機会があり、それは後期旧石器時代になっても継続したことが、古琉球諸島(3万5000年前)や古北海道半島への細石刃石器群の拡散(2万5000年前)など多くの例で確認されている。中期旧石器時代末期から後期旧石器時代への移行は、列島全体で同一のタイミングで一斉に開始されたわけではなさそうである。
●日本列島における後期旧石器時代は、最初に、ユーラシア東部の北側で発達した東アジア型中期旧石器時代と南側の礫器・剥片石器群という2つの文化伝統を引き継いだ台形様石器の文化が列島内で出現、その直後に、ユーラシア中央部で誕生した大型石刃石器群を有するアルタイIUP(初期後期旧石器時代)に系譜をもつ大型石刃石器群が古朝鮮半島から列島に流入することでその基礎が作られ、成立した。起源と系統が異なる両者が融合して二極構造を生み出したことで、日本列島固有の後期旧石器文化が完成したと考えられる。
●日本列島における後期旧石器文化の成立とは、ユーラシア大陸の西端で分かれた北回りと南回りの系譜が、東端の最果ての地において再び合流する過程であったのである。
