榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ダンゴムシって、何とも憎めない顔をしてるんだよ・・・【山椒読書論(101)】

【amazon 『まるまる だんごむし』 『ダンゴムシ みつけたよ』 『やあ! 出会えたね ダンゴムシ』 『ダンゴムシ――落ち葉の下の生き物』 カスタマーレビュー 2012年11月11日】 山椒読書論(101)

なぜか、俄然、ダンゴムシのことを知りたくなって、子供向けの本を4冊、読んでみた。

しぜんにタッチ! まるまる だんごむし』(榎本功写真、須田孫七監修、ひさかたチャイルド)は、幼児を対象に、ダンゴムシに興味を抱かせる工夫がなされていて、微笑ましい。「ちょん! だんごむしを ゆびで つついたら・・・」、「だんごむしは、びっくりして・・・ ぐっ。ぐぐっ! ごろん。ぐるっ! まるまる! だんごむしは、まるまる むしなんだよ」と、擬態語が楽しい。

ダンゴムシ みつけたよ』(皆越ようせい写真・文、ポプラ社)は、写真が素晴らしい。鮮明な写真のおかげで、ダンゴムシの生態を身近に感じることができる。「ぼくたちは、おちばや かれた きや くさを たべている。おちばを ばりばり、かれた くさを がりがり。きの みを むしゃむしゃ。むしの しがいを たべる ことも ある」、「これは、ぼくの うんち。おちばを いっぱい たべたんだよ。ぼくたちの うんちは、くさや きを そだてる えいよういっぱいの つちに なる」と、自然界の食物連鎖にまで言及している。保護者向けの巻末の解説は、「ダンゴムシは、もっとも身近にいる虫のひとつですが、昆虫ではありません。じつは、エビやカニとおなじ甲殻類のなかまです。ダンゴムシには、いくつかの種類がありますが、ふつうよく見られるのはオカダンゴムシです。このダンゴムシは、公園や庭、都市周辺の森や林など、わたしたちの生活の場に近い環境で、落ち葉や、くさりかけた植物などを食べながら、たくましく生きているのです。・・・ダンゴムシは、すずしい北海道、東北地方ではあまり見ることができませんが、それ以外の日本の各地で見ることができます。わたしたちの身近で暮らすなじみ深いダンゴムシですが、その小さな生き物の世界は、意外にも驚きに満ちていることに、この本を読んで気づいていただければうれしく思います」と、簡にして要を得ている。

やあ! 出会えたね ダンゴムシ』(今森光彦文・写真、アリス館)は、著者が自宅の庭で見つけたダンゴムシをガラスの容器で飼育した記録である。著名な動物写真家だけあって、ダンゴムシを真正面からアップで撮った写真は秀逸だ。「カメラにマクロレンズをつけて、ダンゴムシの顔を、正面から拡大してのぞくと、なんともにくめない顔をしています。まん中に見える、逆おむすび型をした部分が顔で、その両はじにある、黒っぽいつぶつぶのあつまりが目です。その下から、こちらにむかって一対の触角がのびていて、さらに下のほうに、ぎざぎざの小さな口がついています。はなれた目に、おちょぼ口。ぼくは、ファインダーをのぞきながら、思わずほおがゆるんでしまいました」。

4冊目にかかろうとした時、突然、脇から女房が、「ダンゴムシって卵を産むの?」、「何年生きるの?」と質問を投げかけてきたので、びっくりした。

ダンゴムシ――落ち葉の下の生き物』(皆越ようせい著、岡島秀治監修、あかね書房)は、ダンゴムシの全てが分かる、子供だけでなく大人の鑑賞にも十分耐え得る優れ物である。その上、「みてみよう やってみよう」の「ダンゴムシをみつけよう」、「ダンゴムシを飼ってみよう」、「実験してみよう――白(色)と黒(色)、どっちが好き? しめった所とかわいた所、どっちが好き? どれくらいの速さで落ち葉をたべる?」というページが非常に充実しているので、私も我が家の庭に棲息しているダンゴムシの飼育、実験をしてみたくなってしまった。