榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

人生の優先順位は、1が健康、2がパートナー・・・【山椒読書論(192)】

【amazon 『大橋巨泉「第二の人生」これが正解!』 カスタマ-レビュー 2013年5月28日】 山椒読書論(192)

タレントとしての好き嫌いは別にして、大橋巨泉を人生の先達として敬愛している。彼の人生に対する基本的な考え方、価値観が私と一致しているからである。

大橋巨泉「第二の人生」これが正解!――人生80年時代「後半生」を楽しく生きるための10の選択』(大橋巨泉著、小学館)は、人生の後半生に差しかかった人たちが主な読者だろうが、著者が提唱する「セミリタイア」を充実させるためには、30代から準備を始めるべきと強調している。

著者の人生観は、このようなものだ。「人間というのは、生まれる時も死ぬ時もたった一人だ。だから、せめて生きている間だけでも、心を許しあえるパートナーと仲良く生きたいとボクは思う。一度きりの人生、その選択として、『いいパートナーと過ごす人生こそ価値あるものだ』という考えは永遠に変わらない。まず1に健康、2にパートナーである。パートナーは、男でも女でもかまわない。同性でもかまわない。結婚していても、していなくてもいい」。

著者の人生の優先順位は明快である。1番が「健康」、2番が「パートナー」、3番が「財政」、4番が「趣味」である。

パートナーに関する著者の提言は過激である。「人生とは、自分とパートナーとで築くものだから、二人で築き上げた人生が最優先される。だからこそ、前半生より後半生がより重要だ。いや、後半生のために前半生があると言っても過言ではない。(「第二の人生」という)大切な時間を一緒に築き上げるパートナーを、前半生で探すことが重要である。『この女とは無理だと思ったら、即離婚してやり直したほうがいい』と確信している。そうしないと悲惨な後半生になる」。パートナーとの関係が崩壊すると、「第二の人生」も崩壊するというのだ。

因みに、大橋家のケンカのルールは、以下の2つだそうだ。「ケンカは翌日に持ち越さない」と、「『ごめんなさい』と言ったら、それ以上追及しない」。早速、我が家でも女房に提案してみようと思っている。

著者の人生がいつも順風満帆だったわけではなく、離婚、全資金持ち逃げ被害、胃がん、前立腺肥大、網膜剥離、白内障、緑内障、黄斑変性症などを経験している。巨泉も結構苦労しているんだなと思うと、親しみが湧いてくる。