榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

ドイツ軍の最強暗号機の暗号解読に成功した天才数学者の悲劇・・・【情熱的読書人間のないしょ話(108)】

【amazon DVD『イミテーション・ゲーム』 カスタマーレビュー 2015年7月4日】 情熱的読書人間のないしょ話(108)

散策中に番(つがい)のマガモに出会いました。雌の後ろを雄がどこまでも付いていくので夫唱婦随ならぬ婦唱夫随かと思ったら、雌に他の雄が近づかないようにしているようです。裏通りではツタが隙間なくびっしりと絡みついているビルを見かけました。ツタの生命力の強さに圧倒されます。因みに、本日の歩数は10,445でした。 

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閑話休題、映画『イミテーション・ゲーム』(DVD『イミテーション・ゲーム』<モルテン・ティルドゥム監督、ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ出演、ギャガ>)には、いろいろなことを考えさせられました。

第1は、天才の役割と天才ゆえの悲劇、第2は、画期的な成果を上げた後の対応の難しさ、第3は、同性愛の問題です。

第二次世界大戦中、ドイツ軍が誇る世界最高の暗号機「エニグマ」のせいで、連合軍側は莫大な損害を被っていました。この解読不能と言われたエニグマ解読に果敢に挑戦した秘密グループがありました。ウィンストン・チャーチルの秘密指令により組織された、天才数学者、アラン・チューリングを中心とする男性5名、女性1名の一団です。試行錯誤の苦労が続きますが、ある晩、カフェでの何気ない会話からヒントを得た彼らは研究室に飛んで帰ります。鍵となる改善を施した解読機の結果はいかにと見守る彼らだけでなく、私たち観客の胸も高鳴ります。

遂にエニグマの暗号解読に成功したというのに、ドイツ軍にこのことを知られることを恐れ、一切秘密にされます。終戦を迎えるまで、彼らは解読した敵の暗号を知ることによって、味方の被害を最小限に食い止めることに全力を挙げます。

このエニグマ解読により、2年以上戦争終結が早まり、1400万人以上の生命が救われたと言われていますが、このチューリングらの画期的な功績は、英国政府によって50年以上も秘匿され続けたのです。

チューリングは天才にありがちな一風変わった人物でしたが、人に明かせない秘密を抱えていました。当時は犯罪と見做されていた同性愛者だったのです。戦後、この罪に問われ、服役する代わりに女性ホルモン投与を受け容れたチューリングは、その1年後に41歳で自殺してしまうのです。1954年のことでした。

チューリングが開発した「チューリング・マシン」は、現在、コンピューターと呼ばれています。

切なさが強く心に残る作品です。