榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

退職後の「おまけの人生」は、次世代のために使え・・・【情熱的読書人間のないしょ話(315)】

【amazon 『人間にとって寿命とはなにか』 カスタマーレビュー 2016年3月8日】 情熱的読書人間のないしょ話(315)

東京・杉並の天沼を巡る散歩会に参加しました。妙正寺池ではキンクロハジロが群れていました。天沼山蓮華寺のウメは紅白が競い合っています。境内ではキジバトのカップルが水を飲んでいました。法光山妙正寺の稲荷堂は赤い鳥居の重なりが鮮やかです。妙正寺を出た先に、見事なウメの林が広がっていました。途中の路傍に置かれた大黒天の石像は味わいがありました。秋田料理の店になまはげの面が掛かっていました。因みに、本日の歩数は17,634でした。

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閑話休題、かつて、『ゾウの時間 ネズミの時間――サイズの生物学』で世の耳目を引いた本川達雄が、人間の寿命についてどう語っているのかが気になり、『人間にとって寿命とはなにか』(本川達雄著、角川新書)を手にしました。

著者の言いたいことは、著者自身が作詞・作曲した「おまけの人生音頭」に凝縮しています。「むかしゃ人間五十年 今じゃ人生八十年 ついたついたよ おまけがついた 何に使おか 何に使おか このおまけ  老いと若いは 時間も違う 時間違えば 世界も違う キッパリと別だと けじめをつけて 楽しもうじゃないか二つの人生 それぞれに  速いばかりが能じゃない 便利 移り気 薄っぺら こくが出るには 時間がかかる 白髪しみしわ 白髪しみしわ だてじゃない  天気ばかりじゃ 草木も枯れる 元気ばかりじゃ 能天気 老いも病も 心のこやし 真に知恵ある 真に知恵ある人つくる  若い時には遺伝子(ジーン)の奴隷 恋愛 子づくり 家づくり 年季明けたら くびきもとれて 晴れて自由の 晴れて自由の時がくる  他人(ひと)のことなど 考えぬ 遺伝子利己的 近視眼 そんなけちな了簡 さらりと捨てて 遠く未来を 広く社会を考える  働きつづけよ 動けるかぎり お役に立ちましょ 孫子(まごこ)のために おまけの時間は もらいもの 感謝しながら 使おうじゃないか」。

著者が「定年後の暇にあかしての妄想」と言う「シルバー屯田兵制度」が、妙に説得力を持って迫ってきます。「過疎の村に『兵舎』をたて、年金世代からシルバー屯田兵を募集する。任務は毎朝トラックにのって、耕作放棄地や人手の足りない農家に出向いて農作業すること。・・・こうして何年か『兵役』をつとめると、『退役軍人』のための介護施設に入る権利が生じる。施設の使用料は『兵役』期間が長いほど安くなる。『退役軍人介護施設』は『兵舎』のそばにあり、現役の屯田兵には『軍医』や『介護兵』がいて、その人たちが介護にあたる。・・・『シルバー屯田兵』制度は、働く人をセットで地方に送り込もうというのであり、地方創生の良い材料になるに違いない」。

退職後の「おまけの人生」は、次世代のために使えというのです。