榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

コナン・ドイルもスピリチュアリズムに騙されていた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(581)】

【amazon 『反オカルト論』 カスタマーレビュー 2016年11月5日】 情熱的読書人間のないしょ話(581)

モミジバフウの赤色とイチョウの黄色が絶妙なコントラストをなしています。千葉・流山の「森の図書館」で、20人ほどを前にして、読み聞かせの初舞台を踏みました。我が家では、歯応えのある固めのジロウガキ(次郎柿)が大人気です。因みに、本日の歩数は10,398でした。

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閑話休題、『反オカルト論』(高橋昌一郎著、光文社新書)には、驚くべきことが書かれています。理性的、科学的な推理で難問を次々と解決した名探偵、シャーロック・ホームズ生みの親にして医師であるコナン・ドイルが、スピリチュアリズムに騙されていた経緯が明らかにされているのです。

本書は、スピリチュアリズム、星占い、血液型占いのような狭義のオカルトに止まらず、STAP細胞事件や江戸しぐさのような広義のオカルトも扱っています。そして、人々はなぜ騙されるのか、なぜ妄信するのか、なぜ不正を行うのか、なぜ自己欺瞞に陥るのか、なぜ嘘をつくのか、なぜ因習に拘るのか、なぜ運に任せるのか。なぜ迷信に縛られるのか――を考察しています。

STAP騒動のその後については、こう記されています。「ネットを見渡しても、STAP事件発生時は小保方氏の研究不正を追及し批判する意見が大多数だったが、今では小保方氏を擁護し応援する意見の方が目立つように映る。2015年12月にはテキサス大学、2016年3月にはハイデルベルク大学の研究者が発表した論文から『STAP現象を確認』というデマがネットに飛び交ったが、これらは特定の筋細胞やがん細胞を対象とする論文であり、小保方氏のプロトコルに起因する『STAP細胞』が『確認』されたわけではない。科学者からすれば、実験目的も方法も結果も異なる趣旨の論文だから、あえて誰もコメントしないが、それをいいことに『STAP細胞は存在した』とか『小保方氏は天才科学者だった』などと都合よく解釈するデマは、まさにUFOや幽霊の目撃証言と類似した『オカルト』の特徴といえる。今後も細胞生物学界では、体細胞に多彩な刺激を与えた際の初期化や多能性に関する研究が続くだろうが、その種の論文が発表されるたびに『STAP現象を確認』という情報操作が行われるのかと思うと、先が思いやられる。いずれにしても、それらの研究成果と、小保方氏が『世界三大不正』の一つとまで数えられる盗用・改竄・捏造の研究不正を行った事実の間には、何の関係もない。彼女が科学を冒涜したこと、いまだにそれを認識していない(もちろん反省もしていない)ことに、何ら変わりはない」と、辛辣です。