榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

シンデレラ物語は、ヨーロッパだけでなく、昔から世界中に存在した・・・【情熱的読書人間のないしょ話(809)】

【amazon 『シンデレラの謎』 カスタマーレビュー 2017年7月11日】 情熱的読書人間のないしょ話(809)

我が家には、アゲハ、キアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハが入れ替わり立ち替わりやって来ますが、ナガサキアゲハの雌をカメラに収めることができました。散策中に、オシロイバナの花を見かけました。オシロイバナに花弁はなく、赤紫色の花弁に見えるのは萼です。因みに、本日の歩数は10,300でした。

閑話休題、『シンデレラの謎――なぜ時代を超えて世界中に拡がったのか』(浜本隆志著、河出ブックス)には、3つの点で驚かされました。

驚きの第1は、シンデレラ物語と基本構造が同じ物語は、フランスのシャルル・ペローの「サンドリヨン(=シンデレラ)」が登場する遥か以前から世界中に存在したということ。古代エジプト、西南アジア(トルコ、アラビア、ペルシャ)、インド、東アジア(チベット、ジャワ、中国、タイ、ミャンマー、ベトナム、朝鮮)、南北アメリカ(ネイティヴ・アメリカン、南米先住民)などに広く分布しており、日本もその例外ではないというのです。

第2は、シンデレラ物語が世界中に広がったのは、ホモ・サピエンスの世界拡散と関係が深いという仮説が提出されていること。「ホモ・サピエンスの『アフリカ単一起源説』に注目し、その根拠にしたがって、原話の世界伝播の可能性を検討することは、一考に値するのではなかろうか。人類というのは同一的な思考方法をもつと同時に、移動して文明を伝えてきたのは事実であるからだ。したがって本書では前者の発想の同一性と、後者の民族の大移動の複合的要因によって、シンデレラ譚の世界伝播が起こり得たのではないかという立場に立つ」。

第3は、フランスのペローの『ペロー童話集』に収録された「サンドリヨン」と、ドイツのグリム兄弟――ヤーコブ・グリムとヴィルヘルム・グリム――の『グリム童話集』に収められた「灰かぶり(=シンデレラ)」では、内容が異なること。そして、アメリカのウォルト・ディズニーのアニメーション映画『シンデレラ』はペローの物語に基づいていること。

シンデレラ物語は、「継母のいじめによるヒロインの試練→援助者の出現→非日常世界としての宴会や舞踏会→花嫁テスト→結婚によるハッピー・エンド――という基本構造を共有しています。なぜ、この物語が世界中で人気を得たのかという設問に対しても、興味深い考察が展開されています。