榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

老人が勇気づけられる、横尾忠則と9人の先達との対談集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1116)】

【amazon 『創造&老年』 カスタマーレビュー 2018年5月13日】 情熱的読書人間のないしょ話(1116)

ブラシノキのブラシ状の赤い雌蕊と雄蕊が目を惹きます。

閑話休題、『創造&老年――横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集』(横尾忠則著、SBクリエイティブ)から、老年の私はいろいろと学ぶことができました。

97歳の画家・野見山暁治。「人間は年齢を知っているばっかりに、『俺は老人なんだ、俺は何年しか生きないんだ』と。数字に支配されて、逆に行動を制限しているような気がする」。

84歳の写真家・細江英公。「『偶然、撮れた写真』と言うとただ『運がいいだけ』みたいで、誤解を招きやすいんですけど、カメラを構えていても、レンズの向こうに自分で予測しないことが起こりうるんですよね。それを『あ』と、瞬間的にシャッターを切れる人と切れない人がいる。その偶然を、自分のための必然にできるかどうか。写真って、誰が撮っても同じはずなのに、撮る人によって全然違うっていうのは不思議じゃないですか?」。

81歳の美術家・李禹煥。「年を取るのと同時に、僕も人が何を言ったとか、今の流行りが何だとかっていうことよりも、やっぱり自分がどうしたいのかっていう、内面に向き合うことのほうが強くなってきたことは確かです。・・・全く興味がないわけではないんだけれども、そんなことはたかが知れてるし、そんなものすぐに変わるよと、思えるよういなってきた。だから、大事なことは、『自分に何が出来るか、自分がどうしたいか』っていうことへと変わってきた」。

94歳の小説家・佐藤愛子。「わがままに暮らしているので(笑)。・・・嫌なことはしないという(笑)」。「(死は)考えたってしょうがない。なるようになって行く。死なない人っていない。みんな死ぬんだから、仕方ないって感じかしら」。

86歳の映画監督・脚本家の山田洋次。「(老いが作品に良い影響を)必ず与えるはずだと信じなきゃいけないね。じゃなきゃ僕は直ぐやめなきゃいけなくなっちゃうじゃない(笑)。必ずあるんだって言いたいですね」。

84歳の作曲家・ピアニストの一柳慧。「体はそりゃあ、昔ほど元気ではないですね。でも、作曲でもピアノでも、若い頃にできなかった大変なことが軽々とできたりすることがあります。・・・(エリオット・カーターは)晩年に挑戦する心が増してくる好例だと思うんです。年を取ってからのほうが、社会からの束縛がなくなるぶん、好奇心や冒険心に純粋に従えるようになる。だから、古いものへの反発も逆に少なくなる。新しいか古いかは、内容とは関係ないんです」。

81歳の美術家・横尾忠則。「長生きするということは、それだけ未知の世界というか、未知のゾーンに入っていくわけですよね。そうすると、ものの見方や考え方をはじめ、ありとあらゆるものが、今まで見えていたこと、聞こえていたこととは違って感じられる。それがまた、自らの新しい創造につながっていく」。

老人が勇気づけられる一冊です。