榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

親から子どもへの貧困の連鎖を断ち切るために・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1185)】

【amazon 『子どもの貧困』 カスタマーレビュー 2018年7月23日】 情熱的読書人間のないしょ話(1185)

散策中、エサキモンキツノカメムシの雌を見つけました。背中の黄色いハート・マークと、雌が子育てをすることで知られています。腹部の下に黒い2齢幼虫たちがいるのが分かります。ウワミズザクラが黄色い実を付けています。突然、風に乗って小さな竜が現れたと思ったら、クモの巣に引っかかった木の葉でした。因みに、本日の歩数は10,019でした。

閑話休題、『子どもの貧困――未来へつなぐためにできること』(渡辺由美子著、水曜社)には、いろいろと考えさせられました。

著者が開催している無料学習会に初めて参加した中学3年生の生徒が、勉強を教えてくれる大学生ヴォランティアを紹介された時、呟いた言葉が、「大学生って本当にいるんだ」だったというのです。恐らく今まで彼の周りには、大学生や大学に行ったことのある人が一人もいなかったのでしょう。「低所得の(家庭の)子どもたちには、とても小さな社会しか見えていないのです」。

ある母子生活支援施設でささやかなクリスマス会を開いた時のこと。最近入所した小学2年生の男の子が、「これって現実なのかぁ」と呟いたというのです。普通の家庭で育っていれば珍しくない光景が、彼にとっては、生まれて初めての体験だったのです。

貧困の連鎖が、このような循環図で示されています。「親の収入が少ない→十分な教育が受けられない→進学・就職で不利→収入の高い職につけない→子ども世代も貧困に→親の収入が少ない→・・・」。

「たしかに、貧困状況にある子どもたちの日常はなかなか厳しいものです。『大変だなぁ』と思うことも多いです。しかし、冷たいようですが、その大変な状況を私たち一市民団体が変えることはできません。家が狭い、食費が厳しい、親が働きづめで面倒を見られない、きょうだいの面倒を見なければならない、親が外国人なので日本語がわからない、というような状態は簡単には変わりません。子育て世帯に手当をたくさん出したり、住宅費の補助を出したり、と問題を解決するためには莫大なお金がかかります。私は、次世代育成や少子化解消の観点からも、子どもや子育てにもっと税金を使うべきだと思っていますが、日本全体としてそちらに舵を切るのはもう少し先になりそうです。給付型奨学金の創設など少しずつその方向に向かってはいますが、大転換までにはまだまだ時間がかかりそうです。できないことを嘆いても何も進みません。だったら、自分たちができることをどんどんやっていけばいいのです」。

「お腹が空いている人に、魚をあげるのか、釣りかたを教えるのか、という例えでいえば、最高の釣りかたを教えたいのです。釣れるまで待つ忍耐力とか、どこい魚がいるかを察知する情報収集力とか、生き延びる知恵としての釣った魚の保存法とか、くじけそうになったときに鼻歌を歌ったり、隣の人に相談してみるというような危機からの脱出方法とか、そういう力を伝えたいと思っています」。

子どもの貧困対策は、「福祉」ではなく、「将来への投資」と考えようと呼びかけています。