榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

カンボジアにおける貧困が人身売買を生み出す構造・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1305)】

【amazon 『人身売買と貧困の女性化』 カスタマーレビュー 2018年11月19日】 情熱的読書人間のないしょ話(1305)

梢で囀っているモズの雄を見つけました。さまざまな色合いのキクが咲き競っています。因みに、本日の歩数は10,349でした。

閑話休題、『人身売買と貧困の女性化――カンボジアにおける構造的暴力』(島﨑裕子著、明石書店)は、カンボジアにおける長期のフィールドワークに基づき、「なぜ人身売買が発生するのか」、「カンボジアにおける人身売買被害者とはいったい誰を指すのか」、「なぜその人が被害者になるのか」という問いに答えようという試みです。

「カンボジア社会のなかには支配と従属のピラミッド構造が存在し、その底辺に位置する女性や女児が人身売買の被害者となりやすい。被害者は、カンボジアの農村から隣国タイなどへと売られていく。被害者はタイを通過点として、『人身売買』の世界市場へとつながっていくことになる」。

「人身売買の斡旋人は、『モデル』的な『成功者例』を農村内に人為的に作り上げ、貧困者を人身売買に誘い込む」。

「今この瞬間も、どこかで人身売買の被害にあっている人がいる。人身売買という犯罪に巻き込まれた人びとは、その後の人生を過酷な現実を背負いながら生きていかなくてはならない」。

農村における人身売買被害者の実態の中から、20歳のクンティアの例を見てみましょう。「知り合いの男性がやってきてポイペトへの出稼ぎを誘われた。ポイペトでは、『一日2500バーツ(=60米ドル当時)を稼げる』と言われた。しかし、知り合いの男性に連れていかれた場所は、ポイペトではなくタイの売春宿であった。売春宿でお客を取ることに激しく抵抗すると、オーナー(雇用主)はクンティアに暴力を振るい毎回食べ物に薬を入れた。意識が朦朧としたが、当初は薬が入っていることには気づかなかった。眠くなり体調がいつも悪くなると感じており、後に薬が入れられていることを知った。クンティアがいた部屋には常時、鍵がかけられており、一度も金銭は支払われることはなかった」。

貧困が人身売買を生み出す構造に、胸が痛くなります。