榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

男が頑張るのは女の気を引くためだ――と、進化心理学は考える・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1449)】

【amazon 『進化心理学から考えるホモサピエンス』 カスタマーレビュー 2019年4月8日】 情熱的読書人間のないしょ話(1449)

ソメイヨシノに少し遅れて、サトザクラ(ヤエザクラ)が咲いています。隣家のジャスミンが仄かな芳香を漂わせています。我が家では、モクレンが満開を迎え、アオキが雄花をたくさん付け、クルメツツジが咲き始めました。因みに、本日の歩数は10,057でした。

閑話休題、『進化心理学から考えるホモサピエンス』(アラン・S・ミラー、サトシ・カナザワ著、伊藤和子訳、パンローリング)は、進化心理学の恰好の入門書です。

進化心理学は、人間の本性を研究する学問であり、人間の本性は、進化によって形成された心理的なメカニズムの総体と定義されています。

例えば、「なぜ同じ状況でも、男と女で受けとり方が違うのか」という設問には、「エラー管理論」で説明が行われています。男性は、「彼女は俺に気があるな」と勘違しがちだが、一方の「女性は相手の男性が自分に気がないものと思い込む傾向があること。女性の場合、肯定的な誤解の代償(男は彼女に気がないのに、愛されていると勘違し、セックスをして妊娠した挙げ句に捨てられる)は、否定的な誤解の代償(気に入られているのに、そうでないと思い、恋愛のチャンスを逃す)よりはるかに大きい。広い世の中には男はいくらでもいる。一人の男と長期的な関係をもつチャンスを逃しても、すぐまた別の男を見つけられる。だが、妊娠した挙げ句に捨てられたら、その後何年も別の男と長期的な関係をもつことはむずかしくなる」というのです。

「ビル・ゲイツやポール・マッカートニーと犯罪者に共通するものは何か」という問いに対する答えは、「犯罪も才能の発揮も、ライバルに勝とうとする欲求のあらわれ」というものです。「なぜ犯罪者は年をとるとおとなしくなり、才能の輝きも年とともに色あせるのだろう。進化心理学の理論で、天才と犯罪者の生涯にわたる生産性の推移を説明できる。この理論によれば、犯罪も才能の発揮も、ライバルに勝とうとする若い男の欲求のあらわれである。祖先の環境では、その欲求の究極の機能は、繁殖成功度を高めることだっただろう。・・・繁殖可能年齢に達したら、暴力や盗みであれ、才能の発揮であれ、あらゆる競争行為が繁殖の成功につながる可能性がある。・・・男たちは女たちに自分の能力を誇示し、イエスと言ってもらいたいがために、文明を築き、破壊してきた。すべては女のためなのである」。

「スポーツで好成績を上げるのも、マネーゲームで稼ぐのも、選挙に出るのも、研究室にとじこもってノーベル賞をめざすのも、男たちのすることはほぼすべて、突き詰めていけばその根源には『女の気を引くため』という動機がある。男たちはもてたい一心で頑張る。女に『イエス』と言ってもらうために身を削って奮闘する。人間の男たちの涙ぐましい努力は、ニワシドリの雄が雌の気を引くためにせっせと小石や枝を集めて芸術的なまでに手の込んだ巣をつくるのと、本質的には変わらない。そんな男のさが、女のさがに生物進化の視点で迫るのが、進化心理学だ。到底わかり合えないほど認識のずれがある男と女だが、その違いの根底に雌と雄の繁殖戦略の違いがあると考えると、なるほどとうなずけることが多々ある」。

この進化心理学の考え方は、私に関しては、どんぴしゃり当たっています。