榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

本能寺の変は、明智光秀が織田信長の非道阻止を目指したものだった・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1566)】

【amazon 『明智光秀・秀満』 カスタマーレビュー 2019年8月1日】 情熱的読書人間のないしょ話(1566)

千葉・流山の流山おおたかの森ショッピング・センターで開催中の「プチ水族館」で、熱帯魚たち――シルバー・アロワナ、ゴールデン・ナイフ、レッド・オスカー、ワイルド・オスカー、レッドテール・キャットなど――をじっくりと観察することができました。アクア・アートの大山純氏制作のアクアリウム(水槽)のレイアウトはシンプルだが趣があります。因みに、本日の歩数は10,757でした。

閑話休題、他ならぬ小和田哲男の手になる明智光秀の評伝ということで、『明智光秀・秀満――ときハ今あめが下しる五月哉』(小和田哲男著、ミネルヴァ日本評伝選)を手にしました。

明智光秀と、その女婿・明智秀満の生涯について、史料が丹念に渉猟されています。

本能寺の変の原因・動機については、後藤敦の分類・整理を引用して、「●光秀単独犯説――積極的謀反説(野望説、突発説)、消極的謀反説(怨恨説、不安説、ノイローゼ説、内通露見説、(織田信長との)人間性不一致説、(羽柴)秀吉ライバル視説)、名分存在説(救世主説、神格化阻止説、暴君討伐説、朝廷守護説、源平交替説)、複合説――、●主犯存在説・黒幕存在説――主犯存在説(羽柴秀吉実行犯説、斎藤利三実行犯説、徳川家康主犯・伊賀忍者実行犯説、複数実行犯・複数実行犯説)、黒幕存在説(朝廷黒幕説、羽柴秀吉黒幕説、足利義昭黒幕説、毛利輝元黒幕説、徳川家康黒幕説、堺商人黒幕説、フロイス黒幕説、高野山黒幕説、森蘭丸黒幕説)、黒幕複数説、従犯存在説――、●その他」といったさまざまな説があること、近年の研究により朝廷黒幕説は成り立たないこと、このところ急浮上してきた四国問題説も決定打とはならないことを踏まえた上で、著者は、信長非道阻止説を展開しています。

「戦国時代を表すキーワードとして、弱肉強食・合従連衡そして下剋上の3つがあげられるが、戦国時代、この最後の下剋上は『悪』とはされていなかった。上に立つ者が良い政治をしない場合、下の者がそれを倒して善政を布くことは武将たちの行為として是認されていたのである。光秀が起こした本能寺の変をどうみるかは、・・・私は下剋上の一つとみており、一種の世直し、もっといえば鬼退治として位置づけられるのではないかと考えている」。

「私自身は、信長・朝廷協調路線という考え方を大筋で認めながら、どこかに、信長が天皇より上に立つ、あるいはやや朝廷を蔑ろにする気持ちも芽ばえていたのではないかとみている。光秀がこうした信長の態度に危惧を抱きはじめたのではなかったか」。

誰かが信長の暴走を止めなければと、自ら立ち上がったのが光秀だったというのです。

蛇足ながら、正直に言うと、私は「野望・突発説」に傾いています。