日本の四季を感じさせる英国風ナチュラルガーデン・・・【情熱的読書人間のないしょ話(39)】
北風が冷たかったが、快晴の太陽が燦々と降り注ぐ中、千葉県の自然が色濃く残る利根運河の土手を歩く野鳥観察会に参加してきました。44種の野鳥が見られたのですが、この辺りでは滅多に出会えないアトリとクイナをじっくり観察する幸運に恵まれました。広葉樹が葉を落す今頃は、野鳥観察に恰好の時節なのです。因みに、本日の歩数は16,429でした。
とかく、この世は住み難い。そう感じたとき、野鳥観察や庭の本を読むことで癒やされることがしばしばあります。
『街の中に四季をつくる――ポール・スミザーのパブリックガーデン』(ポール・スミザー、日乃詩歩子著、宝島社)は、英国で園芸学を学び日本にやって来たポール・スミザーが、都会の公園の中に英国風ナチュラル庭園「シーズンズ」をつくり上げた過程をカラー写真と文章で綴ったものです。
「物語のある庭へ」、「四季のある庭」、「希望をつなぐ庭へ」の各章で構成されていますが、ポールが目指したのは、「街の中に自然をつくる」ということです。「ポールが庭をつくるということは、自然をつくるということだ。日本の四季を感じる庭をつくる」。「街の真ん中に、ポールは四季を取り戻す。街の中に、希望と安らぎの場所をつくりたい」。「恋人たちの椅子、読書する石段、泣きたいときの椅子、ひとりになれる場所、隠れ家の中、物語の主人公になったつもりで、お気に入りの安息の場を見つけて欲しい。庭は、心の椅子でありたい」。
「(庭が)変化するだけでは、物語は続かない。ポールは必ず、つながりをつくる。植物の色、形、そして水の流れだ」。
ポールの庭づくりの基本戦略は、「農薬をいっさい使わない、多年草(原種系の宿根草類)中心の庭づくり」です。「一年草をたくさん入れて、営業目的で見せ場をコントロールする観賞用庭園が多かった中で、ポールの『多年草を中心とした庭づくり』に、社内でも大きな期待が寄せられた」。しかし、この後、経営企業の営業的な要請、保守的なガーデナーたちとの軋轢が続くのです。やがて、「半信半疑だったガーデナーたちが、元気に育つ植物を見て、自然に育った植物は思っていたよりずっと強いんだと納得し、楽しんで手入れをしてくれるようになった」のです。