エディー・ジョーンズが日本ラグビーを大きく変えた・・・【情熱的読書人間のないしょ話(62)】
春の陽光を浴びながら散策していると、その独特の香りによって、フジの存在に気づかされます。我が家の近くでも、意外に多くの家の庭で、藤色の、あるいは白色のフジが咲きこぼれていました。因みに、本日の歩数は11,575でした。
閑話休題、『エディー・ジョーンズの監督学――日本ラグビー再建を託される理由』(大友信彦著、東邦出版。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)を手にしました。体格が圧倒的に物を言うラグビーでは、日本が下位で低迷するのも已むを得ないと思っていたのですが、エディー・ジョーンズという日本代表ヘッド・コーチ(監督)が世界ランキングを過去最高の9位まで押し上げたと知ったからです。しかも、外国出身選手の助けを借りずにというではありませんか。
「その多くは、相手を圧する雄大な体格があるわけでも、ディフェンダーを置き去りにする強烈なスピードがあるわけでもなかった。だが彼らは、勤勉に身体をぶつけ、倒れてはすぐに起き上がり、ボールを持ち、足を動かして前へ出た。とりあえず陣地を稼ぐロングキックや、手っ取り早くトライを狙うキックパスは頭になかった。相手タックルを浴びるリスクと向き合い、倒れてもすぐに起き上がる反応の速さで優位性を作ろうとした。パスを捕れる位置に多くの選手が立つことで、相手ディフェンスに的を絞らせないようにしようと試みた。誰かの、特別な個人技に頼るのではなく、ハードワークを重ね」ていく、これがジョーンズ流のラグビーなのです。
2012年に就任した新しい指揮官が、日本のラグビーを根本的に変えたのです。「私たちの目標は、世界で一番フィットネスの優れたチームを作ること。そして、世界で一番アタックの優れたチームを作ることです。この2つを達成すれば、世界と勝負するところまで行ける」という明快な目標を掲げ、この目標に向けて着実に練習を積み重ねていった成果です。
ジューンズの下でアシスタント・コーチを務めた薫田真広が、こう語っています。「エディーと一緒に仕事をしていて感じるのは、頭がいいかどうか、プレー中に考えているかどうかをすごく見ているな、ということ。考えてプレーしない選手は評価しません」。
「コーチングは、良い習慣をつけさせることだ。そのためには、選手に煙たがれようが、疎まれようが、まったく意に介さない。何度でも、何度でも、同じ言葉を発し続ける」ジョーンズの考え方、行動、リーダーシップから、私たちも学びたいものです。