虫好きの気持ちは虫に伝わるのかも・・・【情熱的読書人間のないしょ話(577)】
我が家の塀を這っている黒と赤のコントラストが鮮やかなケムシは何の幼虫か知りたくて、『昆虫好きの生態観察図鑑Ⅰ――チョウ・ガ』(鈴木欣司・鈴木悦子著、緑書房)を開いたところ、ツマグロヒョウモンの幼虫と分かりました。
本書は、埼玉・奥武蔵の著者の家の庭とその周辺で、著者自身が観察した昆虫たちの臨場感溢れる写真集です。形態、分布、生態、観察地の生息状況などが簡潔に記載されています。
著者夫妻は無類の昆虫好きですが、昆虫の写真撮影の苦労話に続けて、こう語っています。「しかし、長く付き合うと虫の性格も分かってくる。次の動きを想定しながらカメラを向ける余裕も生まれた。著者が庭に出ると、決まってどこからともなく飛んで来る虫も現れ、『もしかしたら虫も人に慣れるのではないか?』と思うほどになっていた。『虫は虫を愛する人を裏切らない』と、今でも信じている」。私もこれに似た経験をしたことがあります。ツマグロヒョウモンの特徴を捉えた写真を撮ろうと、かなりの時間、そのチョウのごく近くで頑張っていた時、なかなか翅を広げないので、痺れを切らした私が指で軽くつついたところ、翅を広げてくれたのです。つつくのを何度繰り返しても、チョウはその場に留まり、逃げていきませんでした。安心して私に身を委ねているかのようでした。
チョウとガには生物分類学上の違いはなく、人間が勝手に分類しただけという考えが、専門家の間では一般的になっています。日本ではチョウとガを区別したがりますが、フランスやドイツなどでは鱗翅目という1つの仲間として扱っています。
本書で紹介されているベニスズメ、ウスキツバメエダシャク、カギバアオシャク、カギシロスジアオシャク、シロオビアオシャク、シロフアオシャク、ナミガタウスキアオシャク、ヘリグロヒメアオシャクの美しさに、思わず目を瞠ってしまいました。
クロメンガタスズメの胸部中央には髑髏のような模様があり、モンクロシャチホコの前翅全体が髑髏に見えるのには、驚かされました。
散策中に、ツマグロヒョウモンの雌、ヤマトシジミに出会いました。
ミノガの幼虫が作るミノムシが電柱に張り付いています。
散策から帰ってくると、我が家の塀に見たことのない、木の皮のようなガが止まっているではありませんか。慌ててカメラに収めましたが、キノカワガと判明しました。
因みに、本日の歩数は10,415でした。