ハトはなぜ首を振りながら歩くのかの謎に挑戦した本・・・【情熱的読書人間のないしょ話(99)】
虚血性心疾患の専門医との面談、神保町の書店巡り、B社の研修の反省会と、今日も充実した一日でした。研修後、事務局から送られてくる受講者のアンケートを手にした時は、毎回、ドキドキします。A4判のアンケート用紙にびっしりと書き込まれている「特によかった点」や「意見・感想等」を読むと、次の研修も頑張ろうという気になります。因みに、本日の歩数は16,480でした。
閑話休題、『ハトはなぜ首を振って歩くのか』(藤田祐樹著、岩波科学ライブラリー)には、興味深いことが書かれています。
「首振りに関する驚くべき事実が判明した。実は、ハトは歩きながら頭を静止させていたのである! ハトが歩くと、体はおおむね一定の速度で前進する。体が前進しているのに頭を静止させるためには、首を曲げて縮めなければならない。首をある程度まで縮めると、今度は首を一気に伸ばして頭を前進させる。この動作の繰り返しが、歩行時の首振りの実態だったのである」。
それでは、ハトはいったい何のために頭を静止させているのでしょうか。実験の結果、「これで謎は解けた。脚を動かすと首が動いてしまうわけでもなく、体の移動を感じるから首を動かすのでもなく、景色が動くから、ハトは首を振るのである」。
「鳥類の眼球は、頭の大きさに対して不釣合いに大きい。これでは、眼球を私たちヒトのようにキョロキョロと動かすことができなくても、無理はない。実際のところ、まったく眼球が動かないわけではないが、私たちに比べると、その程度はずっと小さい。眼球を動かすことができなければ、景色を追うことができなくなり、困ったことになる。景色を見るのをあきらめるという手もあるが、それでは何のために眼球を大きくしたのかわからない。そこで、発想の転換だ。眼球が動かないなら、首を動かせばいいじゃない。小さな眼球を動かすよりコストがかかるとしても、眼球の代わりに首を動かすのは、やってできないことはない」。
「首振りは、第一に景色の見え方と関係がある。眼球運動が十分にできず、視軸が横を向いている鳥たちは、視覚のブレを軽減するために、よく動く首で頭の位置を調整していた。それが首振りのいちばん大切な理由だ。さらに、歩く時に首を振る場合、首振りは歩行の安定性を高めるタイミングで行われ、じっさい首を振る鳥たちは、歩幅が大きく回転数の少ない歩行をしている。これと反対に、首を振らない鳥は、ちょこちょこと小またで脚の回転数を多くして歩き、両足がついている時間を長くとることで、安全性を確保しているようだ。そして、より究極的な観点からは、歩きながら食べ物を探し、ついばむタイプの探食行動が、首振り歩きと関係しているようだ。こうした探食行動では、近距離の視覚情報をきちんと得る必要があり、そのためには視覚のブレを少なくする必要があるのだろう」。
常々、ハトはなぜいつも首を振りながら歩くのだろうと不思議に思っていた私ですが、本書のおかげで謎が解けスッキリすることができました。