榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

チョウの翅の美しさの秘密が明かされる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(118)】

【amazon 『なぜ蝶は美しいのか』 カスタマーレビュー 2015年7月15日】 情熱的読書人間のないしょ話(118)

北海道の大雪山連邦の主峰・旭岳の中腹には、まだ雪渓が残っています。7月12日に開花したばかりの高山植物・チングルマをカメラに収めることができました。美瑛の四季彩の丘のスケールの大きいカラフルな縞模様を織りなす花々には、女房も私も心を奪われてしまいました。因みに、この日の歩数は10,583でした。

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閑話休題、『なぜ蝶は美しいのか――新しい視点で解き明かす美しさの秘密』(フィリップ・ハウス著、相良義勝訳、エクスナレッジ)に登場するチョウやガの美しさに圧倒されました。

そして、それ以上に、彼らの翅の魅惑的な色やデザインはなぜ進化したのかという設問に対する著者の仮説に引き込まれてしまいました。

「蝶や蛾の翅には虹色や乳白光に輝く模様だけではなく種々の動物にも見えるのです。例えば、ヤスデ、サンショウウオ、カエル、ヘビ、ハヤブサ、クモ、スズメバチ、コウモリ、大きな犬歯、かぎ爪、幼虫、オオカミ、フクロウといったものです。・・・昆虫の天敵である鳥たちにこれが通用するものなのでしょうか。鳥類の視覚は、人間よりはるかに鋭いとされます。ならば蝶が他の生き物に表面だけ似せたからといっても、鳥たちの目がくらまされる可能性などないと言っていいのではないでしょうか。しかし、この推論には決定的な欠陥があります。鳥が優れた視覚を持っていると言っても、そもそも人間とは、『知覚の様式』が異なります。鳥は最小限のキーポイントだけに注目して対象が何であるかを同定し、残りの映像情報の大半はその目に入っていないというのです」。

「錯覚を作り出す働きもあるのです。翅の紛らわしさがどんなものかは『人間』にはわかりづらいのですが、それはもともと人間ではなく、捕食動物たちを欺くために進化してきたからです。人間とは非常に異なった視覚世界を生きる捕食者たちは、人間なら見過ごしたり知覚すらできないような特徴を目印にしています。反対に、他の動物種にはどうやら見えていない模様・形・デザインに注目しながら、わたしたちは生きているのです」。昆虫の翅の模様は、鳥の弱みにつけ込む生存戦略だというのです。

ガの一種であるヨーロッパクヌギカレハの写真には、本当にびっくりしました。「落ち葉の層から顔を出すヨーロッパクヌギカレハ。頭を下にしてみるとネズミのように見えます」。このキャプションのとおり、どう見てもネズミの顔にしか見えません!