若者が大志・欲を持たない「低欲望社会」にどう対処すべきか・・・【リーダーのための読書論(58)】
【amazon 『低欲望社会』 カスタマーレビュー 2015年5月15日】
リーダーのための読書論(58)
大前研一の『低欲望社会――「大志なき時代」の新・国富論』(大前研一著、小学館)は、大前一流の直言満載で、刺激的である。その主張の全てに賛成ではないが、日本の現状分析と、将来に向けた独自の経済対策・統治機構改革案は傾聴に値する。
著者は、「アベノミクス」の行く着く先は「国債暴落」と「ハイパーインフレ」であり、国民生活は大混乱に陥ると予測している。そして、アベノミクスが成功しないのは、日本に「世界に類のない『低欲望社会』が出現」しているのに、安倍晋三首相や経済政策ブレインがそのことを理解できていないからだと喝破している。著者の言う「低欲望社会」とは、若者たちが大志・欲を持たない社会を意味しているが、邸欲望社会では、マクロ経済学者たちが振りかざす従来の経済理論は最早通用しなくなっているというのだ。
では、低欲望社会にどう対処すべきなのか。直ちに取り組むべき成長戦略の私案が多数列挙されている点に、設問だけで終わらせず、きちんと自身の解答を示すという著者の気概・姿勢が表れている。さらに、今こそ国の仕組みを変えるべきと、統治機構の大胆な改革の提案も行っている。
アベノミクスが正しかったのか、大前の主張が正しかったのかは、時が証明するにしても、国債暴落とハイパーインフレはご免被りたい。
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