テレビ番組『にっぽん縦断 こころ旅』の裏話が楽しいエッセイ集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(405)】
女房の健康管理方針に従って、いつもは早めに寝るようにしているのですが、地球に最接近している火星を見たくて夜更かししてしまいました。漸く夜中の12時15分に南の空の赤い火星を見ることができたのですが、カメラが手ぶれしてしまい、人魂のようになってしまいました。散策中に、悪戯雲が交番の屋根を齧る瞬間を目撃しました。青いアジサイは爽やかです。桃色のカワラナデシコが風に揺れています。コスモスが咲き始めています。隣家の庭に実ったビワが届けられました。因みに、本日の歩数は10,685でした。
閑話休題、『人生下り坂最高!――NHKにっぽん縦断 こころ旅』(火野正平・NHKチームこころ旅著、ポプラ社)は、NHK・BSで放映中の『にっぽん縦断 こころ旅』の爽やかさととぼけた味わいがそのまま活字になった印象です。
「人生を変えた忘れられない風景や大切な人との出会いの場所といった、ごく私的な情景を綴ったお手紙をたよりに、その風景を火野正平さんが毎日、自転車でめざす『にっぽん縦断 こころ旅』。仕立てはいたってシンプルです。視聴者から寄せられたその日の『こころの風景』のお手紙を火野さんが読み、目的地を地図で確かめて出発。火野さんとカメラマン、音声マン、ディレクター、メカニックの5人組が『こころの風景』をめざして自転車を走らせます。たどり着いた場所で再び火野さんがお手紙を読み、風景を映し出す。それだけです」。
番組も本書も、旅人・火野正平の憎めないキャラクターに支えられています。「べっぴんさんと見るやスルスルと近づき、おばちゃんたちに取り囲まれては泡を食って逃げ出し、道ばたに咲いた草花に自転車を止め、苦手な上り坂や高い橋に出くわすと弱音を吐く。気張らず気取らず、飄飄とした軽みがあります」。
火野が漕ぐ自転車の後ろに乗っている気分にさせられる、ほのぼのとした心に沁みるエッセイ集です。