榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

71歳の読書には71年の人生がフィルターの役割を果たすのだ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(441)】

【amazon 『51歳からの読書術』 カスタマーレビュー 2016年7月4日】 情熱的読書人間のないしょ話(441)

昆虫観察会に参加しました。カブトムシ、ノコギリクワガタ、ノコギリカミキリ、アカハナカミキリ、ウリハムシが見つかりました。ノシメトンボ、オオシオカラトンボの雌、オオツノトンボ、ビロードハマキというガ、オオミズアオというガの幼虫、タケカレハというガの幼虫を観察することができました。因みに、本日の歩数は13,922でした。

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閑話休題、『51歳からの読書術――ほんとうの読書は中年を過ぎてから』(永江朗著、六燿社)には、こんなことが書かれています。

「青春小説というジャンルはあるが、老人小説とか老境小説というジャンルはない。あったとしても超マイナーというか、きわめてニッチなものである。これから高齢者がますます増えても、たぶんマイナーでニッチなままだと思う。青春時代は誰にでもあり、老人はかつての青年だった。老人も心のなかに青年をもっている。だから老人にとっても青春小説は自分の物語として読むことができる。青春小説の読者は10代から100歳まで幅広い。一方、老人の感覚は老人になってみないとわからない。老境小説は中高年以外はあまり読みそうにない。もちろん老境小説を読む高校生もいるだろうが、青春小説を読む老人ほど多いとは思えない。しかし、15歳が読む青春小説と、51歳が読む青春小説は同じだろうか。違うだろう。51歳の読書には51年の人生がフィルターの役割を果たす。51年の人生経験を通じて本を読むことになる」。この見解に全面的に賛成です。

「若いころ読んだ本を読み返して、かつて読んだ内容を忘れていたわけじゃないけれど、以前とは違う感想を抱くこともある。読んでいるぼくの価値観が変わったということもあるし、世の中の価値観が変わることもある。また、作者のイメージが変わることも。15歳のころに読んだときは涙を流さんばかりに感動したのに、51歳になって読んでみたら『何だよ、これ。お涙ちょうだいの安っぽい話だなあ』とがっかりすることもある。15歳の目には純金に見えても51歳の目では金メッキどころかアルミに黄色いフィルムをかぶせただけ、なんていうことも。純金に見えたのは、たんにものを知らなかったからだ」。私にも同じような経験がありますが、こういう変化を実感することは結構楽しいものです。それから、読み返したとき、若い時の感動がそのまま甦ってくるケースも多いことを付記しておきます。

新書について、著者は一家言を持っています。「新書を選ぶとき、ぼくが注意するのは、まずレーベルだ。岩波新書、中公新書、講談社現代新書の3レーベルは、歴史もあり、新書づくりのノウハウが社内で受け継がれているので、よいものが多く、外れが少ない。ちくま新書は現在の新書ブームが起きるきっかけになったレーベルで、これもよいものが多い。・・・そのほか、平凡社新書、集英社新書、光文社新書、角川新書、NHK出版新書にもいい本があるので見逃せない」。

「数ある新書のなかで、強くおすすめしたいのが岩波ジュニア新書だ。文字通り、岩波新書のジュニア版として1979年に創刊された。だいたい中学生・高校生を対象にしているといっていい。しかし、『どうせ子ども向けだろう。中身も軽いんだろう』などとあなどってはいけない。なかなか高度だ」。同感です。

「(書店が返品できない)岩波新書、岩波ジュニア新書が並んでいるかどうかは、書店を選ぶときのモノサシにもなる」。

私が真似したいと思ったのは、この件(くだり)です。「仕事机の前にある本棚のすぐ手に届くところには、いま仕事で使っている本と辞書類が並んでいる。そのなかに山川出版社の『詳説世界史』と『詳説日本史』がある。高校の教科書だ。教科でいうと世界史Bと日本史Bである。この山川の世界史と日本史の教科書は、わりと最近買ったものだ。奥付を見ると2012年になっている。・・・索引も含めて、世界史日本史ともに400ページちょっと。これで値段はどちらも900円以下だ。新書1冊ぶんの値段でこんなに充実した本があるなんて」。早速、買いに行かなくては。