若者の読書離れの風潮を吹き飛ばす、大学生による書評集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1349)】
今年も、残り2日となりましたね。因みに、本日の歩数は10,446でした。
閑話休題、近年の「若者の読書離れ」の風潮や、「1日の読書時間が0分の大学生が増えている」というニュースに心を痛めていたところなので、『書評キャンパスat読書人2017――書評の新聞「週刊読書人」連載 大学生が作る書評コラム』(大学生と「週刊読書人」編集部著、読書人)を手にしました。
結論から言うと、「『読書離れ』していない大学生がこんなにもいることに大変驚き、また、感動しています」という著者の気持ちに同感です。
掲載されている50篇の書評のうち、石山奈緒子(大学3年)の『本へのとびら――岩波少年文庫を語る』(宮崎駿著、岩波新書)、織田俊輔(大学4年)の『アウシュヴィッツの囚人写真家』(ルーカ・クリッパ、マウリツィオ・オンニス著、関口英子訳、河出書房新社)、野村菜々実(大学3年)の『江戸川乱歩傑作選』(江戸川乱歩著、新潮文庫)――が目を惹きました。これらの本に対する書評を私もブログやamazonレビューに掲載しているからです。青春真っ只中からの書評は、年齢の離れた私にとって勉強になりました。
私もその本を読みたくなった書評に出会えました。それは、『落語に学ぶ大人の極意』(稲田和宏著、平凡社新書)の余田葵(大学3年)の書評と、『よるのふくらみ』(窪美澄著、新潮文庫)の荒川美咲(大学2年)の書評です。
余田の書評に、こういう一節があります。「難民受け入れが問題となっているが、長屋の住民は快く受け入れたのではないだろうか。困ったときはお互いさま、世の中同じ価値観の人間だけでは成り立たないことを長屋の人々は身をもって知っていたのだ。落語は、そんな長屋の人々の人生観を教えてくれる。単なる笑い噺ではないのだ。それだけの魅力がつまっている落語から学ぶ極意は、人生のどこかで必ず役に立つだろう」。
荒川の書評の、「男性に性欲があるのは当たり前で、女性にはないものだ、とする風潮に逆らって描いているからである、女性にだって性欲は存在する。・・・愛とはセックスだろうか。これもまた違う気がする。20歳そこそこの私にはこれ以上はよくわからない。・・・どんなに人との関わりが辛くなっても人との繋がりを作らない、ということができない私たちは、苦しんで胸の張り裂ける思いをしながらも、誰かを愛していくのだろう」という一節には、どぎまぎさせられました。