職場にいる不機嫌な人に悩まされているあなたのための本・・・【続・リーダーのための読書論(68)】
不機嫌な人たち
人間関係で悩んでいる人は多い。職場に不機嫌な人、気難しい人がいると、その周囲の人たちは大変である。それが直属の上司、先輩となれば、なおさらである。『職場にいる不機嫌な人たち』(西多昌規著、KADOKAWA)は、職場にいる不機嫌な人たちを5つのグループ――●周囲への気遣いができない人たち、●他人を蹴落としてでも優位に立ちたい人たち、●損をしそうになると過敏に反応する人たち、●相手で態度を変える人たち、●心身にトラブルを抱えている人たち――に分類している。
7つの対処法
職場に不機嫌な人が存在する場合、どう対処すればいいのか。著者はその対処法を列挙している。
①とにかく動じない、流されない――「あなたに非がないなら、相手の要求に動じず流されないことから、対応が始まります。動じたり流されたりすれば、相手に『このまま不機嫌な態度を続ければ、自分の要求は通る』と思われて、相手の不機嫌さがますます高じることになるからです」、②道筋をはっきりさせ、建設的な意見を述べる――「不機嫌な上司に相談するときには、『あの件をクリアするための方法として、こういう案を考えましたが、そうするとAという結果に落ち着くのではないかと思うのですが・・・』など、自分なりの根拠を持った仮説や見込みを提示すれば、少なくとも路頭に迷っているような頼りない印象を与えることは免れます」、③相手に関心があることを示す、④共感は大切だが、同意は慎重に、⑤「~べき」「~はず」という思い込みをやめる――「不機嫌な人は、『自分の不満を示して、相手になんとかしてもらおう』と期待しています。それと同じ土俵に乗ってはいけません。不機嫌な人には、期待しないのがいちばんです」、⑥「不機嫌」レッテルを貼るのは禁物、⑦帰宅時の自分をイメージする――の7つである。
不機嫌な自分には
不機嫌な人への対処法を学ぶことは有意義だが、自分が不機嫌を撒き散らしていないか、振り返ることも必要だ。もし、自分自身が不機嫌な人になっていたら、どうすればいいのか。①自分の不機嫌を認識する、②関心の幅を広げる努力を、③スポーツマンに不機嫌な人はいない、④睡眠不足は不機嫌のもと、⑤休みをちゃんと取る人生のすすめ、⑤上機嫌でいる技術――の5つがアドヴァイスされている。
『幸福論』で知られるフランスの哲学者・アランの言葉――「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」、「全ての不運や、つまらぬ物事に対して、上機嫌に振舞うことである。上機嫌の波はあなたの周囲に広がり、あらゆる物事を、あなた自身をも、軽やかにするだろう」――を噛み締めて、自分はいつも上機嫌でいるぞと決意しようではないか。
戻る | 「第7章 仕事にロマンを」一覧 | トップページ