ロジカル・シンキングやデータ分析手法に振り回されるな・・・【続・リーダーのための読書論(10)】
不思議な人
『仮説思考』(東洋経済新報社)で一世を風靡した内田和成という人は、実に不思議な人だ。世界的な経営コンサルティング企業・ボストン コンサルティング グループ(BCG)の日本代表を務めたというのに、「ロジカルシンキングやデータ分析力が重要だと思い込み、ビジネススクール卒業生(MBA)、あるいは経営コンサルタントの好む各種の分析手法を珍重する。必死にさまざまな情報をため込み、整理してデータベースを構築しようとする。それで、分析力は身につくかもしれないが、斬新な発想力を失ってしまう。そんなことは辛いし、無駄だからやめよう」と言うのだから。
右脳人間の勧め
それでは、どうすればいいのか。『スパークする思考――右脳発想の独創力』(内田和成著、角川oneテーマ21)の中で、著者は、勘を大事にする「右脳人間」になれ、唯一必要なのは、問題意識(=興味)だ、と言い切っている。
内田流情報活用術
「問題意識さえあれば、関連する情報に接すると、脳が自然に引っかかってくれて、自分のデータベースと勝手に化学反応を起こしてくれる」が、一つだけ注意事項があるという。私生活では問題意識=興味でよいが、仕事の場合は、自分の興味だけではなく、自分の仕事に関係のある領域で問題意識を持てというのだ。
化学反応に必要なデータベースについては、遮二無二、根を詰める必要はないという。データに執着すると、入力疲れ、整理疲れで終わってしまって、肝心のアウトプットまで手が回らない。これでは本末転倒だ。「本能の赴くままに、楽をして情報を蓄え、熟成させる。多くは熟成する前に腐ってしまう。忘れ去られてほこりを被ってしまう」が、右脳発想なら、これでも十分に役に立つというのである。
他人とは異なるユニークな発想で新しいアイディアを生み出し、それを仕事に活かせる人間を目指そうではないか。
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