海が好きで好きで堪らないカメラマンの思いが籠もった写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(494)】
【amazon 『海中遊園』 カスタマーレビュー 2016年8月21日】
情熱的読書人間のないしょ話(494)
南方の海の写真を見ると、自分もそこで泳いでいるような気分になり、心が浮き浮きします。とりわけ気に入っている写真は、吉野雄輔作品集『海中遊園――魚と遊んだ日々』(吉野雄輔写真・文、玄光社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)に収められている、インド洋のモルディヴの浅瀬で小麦色の女性がスノーケリングをしている作品です。瑠璃色の空にぽっかりと浮かんだ白い小さな雲、小島に茂る緑色のヤシ、射し込んだ陽の光がきらめく浅葱色の浅瀬、熱帯魚と水底の女性の影――もう、堪りません。
大分以前のことですが、海洋専門のカメラマン・吉野雄輔と、沖縄・座間味島で数日間、一緒に仕事をしたことがあります。吉野の海が好きで好きで堪らないという熱い思い、高度の潜水技術と撮影技術、世界各国の明るくきらめく海の魅力が渾然一体となった『海中遊園』は、私にとって、何度、見返しても興趣が尽きぬ写真集です。