榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

角栄は「ミッション、パッション、ハイテンション」、その話術は「簡潔、明快、具体的」・・・【情熱的読書人間のないしょ話(625)】

【amazon 『田中角栄――人を動かす話し方の極意』 カスタマーレビュー 2016年12月25日】 情熱的読書人間のないしょ話(625)

散策中、少し先を歩いていた女房が「オナガよ!」と声を上げました。慌てて駆けつけたのですが、既に飛び去っていました。その場所でかなり粘ったかいがあって、数羽のオナガをカメラに収めることができました。私の一番好きな野鳥はオナガですが、ここ数年、たまに見かけることはあっても、写真を撮るには至らなかったので、今日は大感激です。因みに、本日の歩数は10,839でした。

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閑話休題、私は、日本の政治家で言葉の使い方が巧みだったのは田中角栄と小泉純一郎だと考えています。『田中角栄――人を動かす話し方の極意』(齋藤孝著、朝日新聞出版)は、角栄の言葉の使い方に焦点を当てながら、その人物像を浮き彫りにすることに成功しています。

「『田中角栄的』なるものとは何か。それはスケールの大きなビジョンを描く先見の明や構想力、『コンピューター付きブルドーザー』と称されるほどの爆発的な決断力と行動力、典型的な親分肌のリーダーシップ、人を笑わせつつ納得させるコミュニケーション力などいろいろあります。ひっくるめて言えば、人としての『熱さ』ではないでしょうか」。「角栄のエッセンスを、角栄流に3つに要約します。『ミッション! パッション! ハイテンション!!』」。

<人生における勝機というのは一度か二度しかない。それを逃すと、次の勝機がくるか否かは定かでない>。

著者は、角栄の根回し術の要素を3つ挙げています。①度胸、②スピード、③人脈。

「(角栄は)人から相談や要望を持ちかけられたとき、『わかった』『できない』『なんとかやってみよう』のいずれかで即答し、ただちに手を打つ。これは政治家のみならず、ビジネスパーソンとしても望まれる態度ではないでしょうか。実践すれば、周囲から信頼され、慕われることは間違いないと思います」。

<用件は便箋1枚に大きな字で書け。初めに結論だ。理由は2つ3つを箇条書きにせよ。この世に3つでまとめきれない大事はない。話は聞いても忘れるが、紙は手許に残る>。「手書き」が濃いコミュニケーションを可能にするのです。

若かりし石破茂の結婚式での、角栄の気転に溢れ、人を惹きつける主賓祝辞が印象に残りました。<この4月だったか、石破君にヨメを世話しようと思って聞いてみたら、もう決まった女性がいるというのです。相手は誰だ、と聞いたら、丸紅の女性だ、と。なにッ! 丸紅の女? しかし丸紅は、いい会社だ。ウン、わたしのことがなければ、もっといい会社だ>。

<人間は、やっぱり出来損ないだ。みんな失敗もする。その出来損ないの人間そのままを愛せるかどうかなんだ。政治家を志す人間は、人を愛さなきゃダメだ>。

<頂上をめざすには、敵をできるだけ減らすことだ。自分に好意をもってくれる広大な中間地帯をつくることだ>。<人の悪口を決して言わないこと>。この忠告が実践できていたら、私も出世できていたかもしれないと、今頃、悔やんでも遅いですね(笑)。

<(政治家が)仕事をすれば批判が起こってくるのも当然ではないか>。

角栄の話術の肝は、「簡潔、明快、具体的」と記されています。