田中角栄は、やはり大した人物だったと再認識させる直言集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(205)】
散策中に、粘りに粘ってアオサギ、カワウ、カルガモの3者を1枚の写真に収めることができました。遠方なので白い看板かと思ったら、ダイサギでした。オナガガモのペアも見かけました。
閑話休題、田中角栄という政治家の魅力は、3つに集約できます。深く鋭い人間観察、義理と人情を大切にする心の持ち方、群を抜く決断力と実行力の3つです。そして、その底にどーんと大きな構想力――毛沢東、周恩来が相手の日中国交正常化など――が横たわっていることも忘れてはいけないでしょう。
『田中角栄100の言葉――日本人に贈る人生と仕事の心得』(別冊宝島編集部編、宝島社)は、評論ではなく、角栄自身の言葉が集められているだけに、私たちの心に直接響いてきます。
●用件は便箋1枚に大きな字で書け。初めに結論を言え。理由は3つまでだ。この世に3つでまとめきれない大事はない。
●できることはやる。できないことはやらない。しかし、すべての責任はこのワシが負う。以上!
●必要なのは学歴ではなく学問だよ。学歴は過去の栄光。学問は現在に生きている。
●手柄はすべて連中に与えてやればいい。ドロは当方がかぶる。名指しで批判はするな。叱るときはサシのときにしろ。ほめるときは大勢の前でほめてやれ。
●人間はそれぞれ「ものさし」がある。相手の「ものさし」に合わせて十分考えないと失敗するぞ。
●優れた指導者は人間を好き嫌いしない。能力を見分けて適材適所に配置する。肝心なのは大事を任せられる人を見つけることだ。
●企業の社長になったら、できるだけ早く大きな仕事をやるべきだ。「熟慮断行」もヘチマもない。「待てば海路の日和」では、とても大きな仕事などできない。
●今日は今日でタイムリーにものを片付ける。明日には同じ問題に対して別の方法が見つかるかもしれない。そうなれば政策転換すればいいだけの話だ。
●必ず返事は出せ。たとえ結果が相手の思い通りでなかったとしても「聞いてくれたんだ」となる。これは大切なことなんだ。
●学生運動を繰り広げる若者たちがいる。経験が浅くて視野が狭いがまじめに祖国の先行きを考え心配している。若者はあれでいい。
●人の悪口は言わないほうがいい。言いたければ便所で1人で言え。自分が悪口を言われたときは気にするな。
●失敗はイヤというほどしたほうがいい。そうするとバカでないかぎり、骨身に沁みる。判断力、分別ができてくる。これが成長の正体だ。
●一番大切なのは、何よりも人との接し方だ。それは戦略や戦術と違う。人間は年に関係なく、男でも女でも好きな人は好きなんだ。
●人の一生はやはり運だと思う。実力があってもダメなものはダメ。努力と根気、勉強、こういったものが運をとらえるきっかけになる。
●本当の雄弁は相手の心をとらえる。聞く人が「今日は良かったな」と思う話をする。それが本当の雄弁というものだ。
●いい政治というのは国民生活の片隅にあるものだ。目立たずつつましく国民の後ろに控えている。吹きすぎて行く風――政治はそれで良い。
●人の悪口を言ったり、自分が過去に犯した過ちを反省せず自分がすべて正しいとする考え方は国のなかでも外でも通用しない。
●人類にとって最後の問題は、核戦争の問題だ。核戦争というのは、自分だけが勝つということはないんだ。そうだろう。人類がみんな死滅しちゃうんだから。
●戦争を知っている世代が社会の中核にある間はいいが、戦争を知らない世代ばかりになると日本は怖いことになる。
本書によって、角栄というのは、やはり大した人物だったと再認識することができました。