歴史嫌いを歴史好きに変える一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(661)】
あちこちで、ウメが白い花、赤い花を咲かせています。夕焼けは、時に神秘的な様相を見せることがありますね。因みに、本日の歩数は10,719でした。
閑話休題、『テーマで歴史探検』(河合敦著、さじろう絵、朝日学生新聞社)は、歴史が苦手な中高生向きに書かれています。長年、高校で日本史を教えてきた著者の経験が生かされた、ユニークな切り口の書となっています。
日本史全体を対象とするのではなく、歴史嫌いでも興味が持てそうなテーマ別に編集されているのです。テーマは、銅、仏教、城、神社、すし、そば、天ぷら、納豆、豆腐、しょうゆ、茶、書道、華道、歌舞伎、相撲、犬、色、服装、日本刀、化粧、銭湯、トイレ――と、ヴァラエティに富んでいます。
教科書には絶対載っていないトイレの起源については、このように説明されています。「野外やおまるで用足し トイレの設置は鎌倉時代から――飲んだり食べたりしたものは、消化されて排せつされますね。これは自然の摂理で、汚いと考えるのは間違いです。トイレの変遷は重要な歴史です。・・・日本でトイレが設置されるようになったのは、人の排せつ物が肥料として使われるようになった鎌倉時代以降のようです。くみ取り便所といい、板壁、板ぶき屋根の簡素なつくりで、穴の上に板を渡し、排せつ物をためる構造でした」。
歌舞伎については、「①もとは女性が主役で盛り上げていた! 家康親子もハマった出雲の阿国→②江戸で一番の役者登場! 初代市川団十郎 高い契約料に反省 本場・京都へ→③俳人、脚本家、演出家・・・団十郎の才能さまざま 成田山の不動明王ヒット 屋号に→④落ちぶれても気高い姿が感動呼ぶ 『和事』生み、狂言極めた(坂田)藤十郎→⑤男性演じる『女方』が女性の流行生む (芳沢)あやめ大人気 いつでも心は女→⑥隈取りの赤は正義のヒーロー、青は悪役 化粧や服装の変化で性格も表現→⑦観客を喜ばせる舞台装置がいっぱい セリ使って役者も背景も動く動く→⑧江戸後期 七代目市川団十郎が一番人気 天保の改革で一時は江戸から追放→⑨明治維新で役者の地位、一気に上昇 欧米化で舞台も演技も様変わり」――と、かなり詳しく歴史が辿られています。その上、「歌舞伎の隈取りあれこれ」と題して、隈取りが図で詳しく解説されているという念の入れ方です。
歴史はどうも好きになれないという人に一読を勧めたい一冊です。