江戸時代の大名の実態が生々しく甦る一冊・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1139)】
【amazon 『名門水野家の復活』 カスタマーレビュー 2018年6月5日】
情熱的読書人間のないしょ話(1139)
あちこちで、ザクロが橙色の花を付けています。イトラン(ユッカ)が釣り鐘状の白い花を鈴生りに付けています。キスゲ(ユウスゲ)が黄色い花を咲かせています。さまざまな色合いのスカシユリが咲き競っています。ギボウシが淡紫色の花を俯き加減に咲かせています。ガウラ(ヤマモモソウ、ハクチョウソウ)の白い花が風に揺れています。ヒルザキツキミソウが薄桃色の花を咲かせています。我が家の向かいの小学校から子供たちの元気な声が聞こえてきます。因みに、本日の歩数は10,651でした。
閑話休題、『名門水野家の復活――御曹司と婿養子が紡いだ100年』(福留真紀著、新潮新書)に対する正直な読後感は、江戸時代の大名はなかなか大変だなというものです。
水野家は、徳川家康の生母・於大の方の実家という名門でありながら、六代藩主・水野忠恒が享保10(1725)年、乱心により江戸城松之廊下で刃傷事件を起こしたため、譜代大名から旗本へ転落してしまいます。
一代置いて跡を継いだ八代・水野忠友は、没落の「せつなさ」に耐えながら一心に勤め、大名復帰を果たし、老中にまで上り詰めます。
忠友の離婚した娘のもとに婿養子入りした九代・水野忠成は、「したたかさ」を武器に、将軍側近からスタートし、老中として権勢を振るうまでになります。
私たちに馴染みのない忠友と忠成にスポットを当てたことで、江戸期の大名の実態が生々しく甦ってきます。