榎戸誠の情熱的読書のすすめ -3つの読書論・ことばのオアシス・国語力常識クイズ(一問一答!)-

仏像は、如来、菩薩、明王、天部、仏弟子に分類すると理解し易くなる・・・【情熱的読書人間のないしょ話(858)】

【amazon 『ときめく御仏図鑑』 カスタマーレビュー 2017年8月23日】  情熱的読書人間のないしょ話(858)

散策中に、白い花を付けているネコノヒゲを見かけました。長く伸びた雄蕊と雌蕊が特徴的です。芳香を放つニオイバンマツリが咲いています。花色が紫から白へ変化します。テッポウユリとタカサゴユリの花は非常によく似ていますが、テッポウユリが真っ白なのに対し、タカサゴユリは花弁の外側に赤紫色の筋が入っているので、見分けることができます。因みに、本日の歩数は10,990でした。

閑話休題、『ときめく御仏図鑑』(門賀美央子文、嵐山晶画、瀬谷貴之監修、山と溪谷社)は、画と文による、私たちにも分かり易い仏像の入門書です。

本書は、「端正で均整のとれた姿の如来像、優美な菩薩像、躍動感あふれる明王や天部の像、創意あふれる表現が見ものの仏弟子像」に分けて、解説されているので、門外漢にも理解し易いのです。

如来の部。「悟りへの道を教える仏教の開祖 釈迦如来」は、こう説明されています。「諸仏のなかで唯一、実在の人物であることが明確な釈迦如来。上座部仏教では現世における唯一のブッダ(覚者)ですが、大乗仏教では過去から未来にかけあらゆる場所で生まれる無量の諸仏のひとりであり、人々を救うためにこの世に肉体を持って現われた仏=応身仏と考えます。お釈迦様は入滅の際、信じるべきは自分が説いた法(宇宙の真理)であるとして個人崇拝を禁じました。しかし、人々がお釈迦様を尊び慕う気持ちは時が経っても衰えず、釈迦信仰に結実します。そして、数百年の時を経て仏像が生まれたのです」。

個人の悟りの完成を目的とする釈迦の教えに忠実な上座部仏教(=小乗仏教。ただし、小乗仏教は蔑称)と、釈迦入滅後300~400年経った頃誕生した、衆生の救済を主眼とする大乗仏教との違いに要所要所で言及しているのは、本書の際立った特色です。

「身心の苦しみを癒やす仏 薬師如来」、「永遠不変の真理を体現する仏 大日如来」、「一切衆生を受け止める救済者 阿弥陀如来」、「日本一有名なあの仏様(=奈良・東大寺の大仏)のご本名 盧遮那仏」なども登場しています。

菩薩は、「元来は悟りを開く前、とりわけ過去生で修行していた時代のお釈迦様を指す言葉でした。しかし、大乗仏教では悟りを求めて修行をする人々はすべて菩薩と定義され、自己の修行の完成と他者の救済を同時に目指す理想的な修行者像としての菩薩諸尊が生まれました」。

「悟りへと至る智慧を授けてくれる菩薩 文殊菩薩」、「どこにでも現れる慈悲の象徴 普賢菩薩」、「一切を照らす智慧と慈悲の光 日光菩薩/月光菩薩」、「自在に姿を変えて人々を救う菩薩様 観音菩薩」――観音菩薩は、6つの世界のそれぞれに応じた姿で現れ、そこに住む衆生を助けるのです。例えば、畜生界の馬頭観音、餓鬼界の千手観音など――、「次代を任され、ただいま修業中 弥勒菩薩」、「無仏時代を守る大慈悲の菩薩 地蔵菩薩」などが登場しています。

明王は、仏陀のボディガードです。

「明王界のトップスター 不動明王」、「一切の悪を喰らい尽くす明王 金剛夜叉明王」、「愛欲を悟りに変える明王 愛染明王」などが登場しています。

天部とは、「仏教成立以前から存在していた神々を仏教内部に取り込み、護法善神として新たな性格と役割を与えた尊格の総称」です。

「仏教創始の恩神? 梵天」、「神々の力強い帝王 帝釈天」、「四方を守る武神 四天王」――東方を守る持国天、南方を守る増長天、西方を守る広目天、北方を守る多聞天――、「頼もしい門番コンビ 金剛力士」、「才色兼備の万能女神 弁才天」、「母子の守護神 鬼子母神」、「美と繁栄の女神 吉祥天」、「足の速さは仏界一! 韋駄天」、「福神の意外な正体 大黒天」など登場しています。

日本オリジナルの仏尊としては、八幡菩薩が登場しています。

毎月、参加している散歩会でいろいろな仏に出会うのですが、本書のおかげで仏たちに対する理解が深まったので、より親しみを感じることができそうです。