幼い子供たちの成長する様をカメラに収めた、ほろっとくる写真集・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1054)】
アセビが白色の花を、アケボノアセビが桃色の花をぶら下げています。ボケが赤色の花、薄桃色の花を咲かせています。オウバイが黄色い花をたくさん付けています。ウメ、シダレウメも頑張っています。因みに、本日の歩数は10,760でした。
閑話休題、久しぶりに心が和む本に出会いました。フリーランスのカメラマンが幼い子供たちの成長する様をカメラに収めた写真集『お父さん、だいじょうぶ? 日記』(加瀬健太郎著、リトルモア)は、写真だけでなく、付されたコメントも滅茶苦茶に面白いのです。
11月8日(日)の「世界でいちばん」は、こんなふうに綴られています。「子どもがひっついてきたり、『パパ大スキ!』とか言われたりすると、『もしかして、うちの子、世界でいちばんかわいいんとちゃうか?』と思ったりしてしまう。そんな時、いつも思い出すのは、僕が高校生の時に友人が、当時つきあってたそんなに可愛くない彼女のことを、『俺の彼女な、宮沢りえよりかわいいんちゃうかと思うねん』と、真顔で言ったきた時のこと」。
11月10日(火)の「家系」は、深刻です。「『ねえ、パパ、ちんちん噛んで』。上の子が3歳ぐらいの時、風呂上りにからだを拭いていると、いきなりそう言った。僕は、『パパは、ちんちんはあんまり噛めへんなー』と返事しておいた。すると上の子はからだを折り曲げて、なんとか自分でちんちんを噛もうとしていた。最近、そんなことをすっかり忘れて子どもとお風呂に入ってたら、下の子が『パパ、ちんちん噛んで』と言ったのでびっくりした。3歳ぐらいの男の子は、どこの子もそんなものなのか、それとも、うちの家系が噛まれたい家系なのか、と自分についても少し考えてみた」。思わず、噴き出してしまいました。
11月26日(木)の「ボクサー」には、奥さんが登場します。「毎朝、嫁さんが全裸で体重計に乗っている。一応、見えないところでやっているので、不意に視界に入るとびっくりさせられる。僕が、服の分の重さを体重から差し引いて計ればいいと提案しても、毎日着てるものが違うから、誤差が出るのでダメらしい。パンツぐらい穿けばいいのに。ボクサーにでもなるんとちゃうやろか」。
1月15日(金)の「なまえ」も、抱腹ものです。「下の子に、『ママって呼んでるけど、ママの本当の名前知ってるか?』と聞いたら、『奥さん』って答えた」。
1月24日(日)の「人生設計」は、まるで夫婦漫才のようです。「今日の昼、嫁さんが真剣に何か紙に書いていた。何してるのか聞くと、『人生設計書いてんの』と答えた。紙には、貯金がいくらあって、家のローン、月々の食費などが書き込まれていた。そして、僕が91歳まで生きることになっていた。『そんな生きひんで!』と僕が言うと、『とりあえずやん』と嫁さんは言った。僕は、とりあえず生きていくのかなと思った。少し経って、書き終わったみたいだったので、人生設計はその後どうなったのか聞くと、『もうやめた。書いてもお金増えへんし、どうにかなるんちゃう』と言われた」。
6月23日(木)の「情報化社会」には、女の恐ろしさ、いやらしさが滲んでいます。「温泉に行くとだいたい、僕が上の子と男湯に入って、嫁さんは下の子を連れて女湯に入る。それで、『じゃ、出たとこの椅子で集合しよか』ということになる。その時は、僕が先にお湯から出て、待ち合わせの椅子で待ってた。すると、よその奥さんと子どもが、他に椅子もなかったので、僕とテーブルを共有する形で、会釈しながら座ってきた。その奥さんが、ちょっとした美人だった。そうこうしていると、うちの嫁さんと下の子がお湯から出てきた。僕らは、じゃあ行こかと歩き出した。すると嫁さんは、僕が横にいた奥さんのことを『綺麗な人やな』と思ってるのに気付いたのか、『あの人、ボーボーやったで』と要らん情報を吹き込んできた」。
3月17日(金)の「フリーランス」は、ドラマの一場面のようです。「『フリーランスって、安定してないから不安じゃないですか?』とよく聞かれる。確かに不安といえば不安ですが、10年やっているおかげで、おしっこをちびるほどではない。不安に気づかないフリをすることに慣れてしまったのかもしれない。仕事が一つも無くなってから一週間目。ちょっとした休みのような気分で過ごす。全然大丈夫。二週間目。家の周りを散歩しすぎて行く場所がなくなるが、まだ大丈夫。三週間目。ツバメが必死に餌を運んでいるところや、宅急便の人が走ってるのを見ると堪(こた)える。一ヵ月目。嫁さんにパートをしないかと勧める」。お父さんは、大変ですね。
5月24日(水)の「いちばんじゃなきゃ」には、微笑まされました。「僕が家で仕事をしていると、こーちゃん(真ん中の子)が『パパが世界でいちばん大好きだよ』と言いに来た。ママを赤ちゃんに取られ、兄を小学校に奪われ、暇そうにしている僕が繰り上がったとしか思えない。夕方、こーちゃんと公園に行った。僕は、今までにないくらい本気で遊んだ(携帯を見るなんてしない)。世界一の座は誰にも譲らない」。
5月30日(火)の「絵に描いたような花火」は、ほろっときました。「昨日、嫁さんとしょうもないことでケンカになった。拗ねて僕だけ花火大会に行かないで家のテレビで阪神戦を見ていたら、花火の音だけは太鼓の音のように家の中まで聞こえてきた。次の日の朝、『パパ見れなかったでしょ』と言って上の子が花火の絵を描いてくれた」。
何のかんの言っても、羨ましいほど素敵な家族です。