「エクセレント・カンパニー」から「エクセレント・パーソン」の時代へ・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1076)】
スノウフレイク(スズランズイセン)は、白い花弁の先端の緑色の斑点が目印です。ヤマブキの黄色い花が咲き始めています。オオアラセイトウ(ショカツサイ)が薄紫色の花を付けています。シバザクラが赤紫色、桃色、白色の花を咲かせています。ハナズオウの蕾が膨らんできました。因みに、本日の歩数は10,738でした。
閑話休題、『個人が企業を強くする――「エクセレント・パーソン」になるための働き方』(大前研一著、小学館)は、今や、「エクセレント・カンパニー」の時代から「エクセレント・パーソン」の時代になったと喝破しています。
かつて、世界各国でベストセラーになった『エクセレント・カンパニー――超優良企業の条件』(T・J・ピーターズ、R・H・ウォータマン著、大前研一訳、講談社。出版元品切れだが、amazonなどで入手可能)では、「行動の重視」、「顧客に密着する」、「自主性と企業家精神」、「ひとを通じての生産性向上」、「価値観に基づく実践」、「基軸から離れない」、「単純な組織、小さな本社」、「厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ」という8つの要件が挙げられていたが、現在のネットワーク時代は、「たった一人の傑出した人間(エクセレント・パーソン)」が企業や組織を劇的に強くしていくというのです。この『エクセレント・カンパニー』は、私の若い時代の愛読書の一つで、今も書斎の書棚に収まっています。
「これからは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)がビジネスの現場に浸透していき、従来ある仕事の多くはAIやロボットに代替されていく。その中で、問題を解決できる『余人をもって代えがたい』人材とつながって、どれだけ多く味方につけられるか? 彼らの能力をいかに引き出し、AIにもロボットにもできない成果を上げられるかどうか? それが、企業の盛衰に直結するようになるだろう」。
エクセレント・パーソンの例が具体的に列挙されています。「アメリカでは、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス、テスラモーターズやスペースXの創業者イーロン・マスク、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ、ウーバーの共同創業者トラヴィス・カラニックら、21世紀を代表する天才的な起業家が続々と登場している。これらのゴジラ企業を生んだのは、国籍や学歴に関係のない『たった一人の天才』である」。
現代のエクセレント・パーソンに求められる要件として、語学力、統率力、構想力の3つが挙げられています。
「人生で最も大切なのは『最初の30年』である。30歳までにどこまで能力を磨き、どんな経験を積んで自分の可能性を広げられるかで、人生の勝負はほぼ決まるのだ。つまり、『人生100年時代』になろうがなるまいが、これからの日本にとって本当に必要なのは、高等教育の無償化や社会人の学び直しや多様な形の高齢者雇用などではなく、根本的な『教育革命』なのである」。全く同感です。
「『相手の立場になって考える』というトレーニングは非常に重要だ。同僚と居酒屋で上司の悪口や仕事のグチを言っている暇があったら、『自分が上司の立場ならどうするか』ということを考えるべきである。・・・たとえば、『もし自分が赤字続きの大塚家具の社長だったらどうするか?』『安倍首相の立場なら難題山積の外交問題をどのように解決するか?』といったテーマについて解決策を考えるのだ」。この上司の立場になって考えるというのは、私の経験から言っても、組織で実力を発揮するのに有効な訓練だと言えるでしょう。
著者は、中高年に対する叱咤激励も忘れていません。「そもそも日本人は年齢についてもメンタルブロックがあり、中高年になると新しい仕事にチャレンジしない傾向が極めて強い。しかし、『もう○最だから』は禁句にすべきだと思う。このメンタルブロックを外せば、第二、第三の仕事に挑戦できるはずだからである。そうやって自分の中の『壁』を壊しながら、『脳の筋トレ』を繰り返していけば、どれほど困難な問題に相対しても、また何歳になろうとも、的確な解決策を導き出せるようになるのである。その結果、どこへ行っても通用する人材になり、定年後も周囲からお声がかかって自分のスキルを生かした仕事に就くなど、充実した人生を送ることができるはずだ。安倍政権は『人生100年時代』などと言っているが、定年後の人生が『生ける屍』のようになっている人材を量産するだけなら、国家としてはジ・エンドだ。死ぬ時に『いい人生だった』と言えるようにするためには、自分なりの『働き方改革』を、40歳を過ぎたら積極的に実行していかねばならない」。全く、そのとおりです。