MRがコミュニケーション能力を高めるには・・・【MRのための読書論(59)】
MRとコミュニケーション
MRにとって一番重要な能力は何か。ほとんどの人から「コミュニケーション」という答えが返ってくることだろう。このコミュニケーションの質を向上させる方法がNLPなのだ。
『心の動きが手にとるようにわかるNLP理論』(千葉英介著、アスカ・エフ・プロダクツ)は、NLPの入門書である。NLPとは、Neuro-Linguistic Programmingの略で、日本語に訳すと「神経言語プログラミング」となる。人がどのような仕組みで現実を認識しているかを、神経(人間の五感――視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚)と言語の観点から研究したもので、人の心はどのようにものを見て、どのように動くのかを追究した米国生まれの新しい学問だという。そして、成功を手に入れるための実践的な方法・技術でもあるので、この方法・技術を身につけることによって、自分自身の目的が明確になる。さらに、相手と信頼関係を築けるようになり、スムーズなコミュニケーションが可能となるのだ。
NLPの最終目的
NLPの最終目的は、エクセレント・ライフ(最高の人生、卓越した人生)を送ることである。現在、仕事がうまくいかないと悩んでいる人も、NLPの「8つのフレーム」という問いかけを自らにすることによって、エクセレント・ライフに向けての第一歩を踏み出せるという。自分のエクセレント・ライフは何なのかが明確になるからだ。①あなたがほしい成果は、具体的に何なのか? ②成果が手に入ったとき、どうしてそうと分かるのか? ③成果は、いつ、どこで、誰とつくるのか? ④それを手に入れると、どうなるのか? ⑤あなたが既に持っているリソースは何なのか? 成果を手に入れるために、さらに必要なリソースは何なのか? ⑥現在、成果を手に入れるのを阻害しているものは何なのか? ⑦成果を手に入れることは、あなたにとってどのような意味があるのか? ⑧それでは、初めの行動は? 先ず何から始めるのか?
NLPは、目的を達成すればいい、という単純な成果主義ではなく、成果を上げることが、その人の人生にどういう影響を与えるかが重要と考えているのだ。
NLPの実践的技法
●相手の立場になってみる「ポジション・チェンジ(知覚位置交換)」――例えば、相手の態度に腹が立ったとき、自分という第1のポジション、相手という第2のポジション、自分でも相手でもない、客観的に見ることができるニュートラルな第3のポジションを意識することによって、一つの物事を多方面から見られるようになる。自分の認識の位置を変えることで、問題が問題と感じられなくなったり、相手を許せたりと、さまざまな可能性が生まれるのだ。
●信頼関係をつくり出す「ラポール」――「ラポール」は、心と心が通い合っている状態のことである。それでは、キー・ドクターとラポールを築きたい場合、どうすればよいのか。先ず、相手をよく観察(カリブレーション)する。相手がどういうタイプの人間なのか、相手が望んでいるのは何なのか、を知ることができれば、ラポールへの第一歩を踏み出したことになるだろう。
●相手を受け容れていると伝える「バックトラッキング」――相手のことを知りたいとき、また、相手との対立を解消したいときは、先ず相手を受け容れるという姿勢が必要となる。そのとき、有効な方法が「バックトラッキング」で、「相手の発言の語尾を、自分も繰り返す」、「相手の話が長い場合は、自分もその話の要点を繰り返す」、「相手の使ったキー・ワードを、自分も繰り返す」のだ。バックトラッキングは、私はあなたの話をちゃんと聞いていますよ、というサインなのである。
●感情、人間関係をリセットする「承認・完了・スタート」――相手に対して怒りやわだかまりを持っている場合、「承認・完了・スタート」すれば人間関係をリセットすることができる。ポジション・チェンジで相手の立場、第三者の立場に立って、起こったことを「承認」することによって、心理的な「完了」が起こる。完了しないまま次に進むと負荷がかかるが、完了すると、もう一度新たな気持ちで「スタート」することができるのだ。
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