白隠の、ぎょろりとした目の達磨の絵は迫力があるが、その書も凄い・・・【情熱的読書人間のないしょ話(1097)】
散策中、ナミテントウを見つけました。私にとって、この模様のナミテントウは初めてです。ナニワイバラ(ナニワノイバラ)が白い花を咲かせています。ヤマツツジの鮮やかな朱色の花に目を惹かれました。ヤマボウシの総苞は、未だ緑色をしていますが、間もなく白くなることでしょう。オダマキは、さまざまな色合いのものがあります。因みに、本日の歩数は10,600でした。
閑話休題、『白隠――禅のこころを描く』(芳澤勝弘・山下裕二・石川九楊ほか著、新潮社・とんぼの本)は、ぎょろりとした目が特徴の迫力ある達磨の絵で知られる白隠(はくいん)の全体像に迫る一冊です。
江戸中期に、臨済宗を復興させた禅僧・白隠慧鶴(えかく。1685~1768年)について、私たちは、あまり多くのことを知りません。「こんなに凄い、ど迫力の、面白くて、笑える、深いメッセージをたたえた白隠禅画を、もっと広く世に知らしめなくてはいけない」というのが、著者の目論見です。
「ただただ禅の教えを伝えたい『菩提心』と、ただただ描くことが好きな『絵心』とがクロスして生まれた白隠禅画。見るだけでも楽しく、強烈なエネルギーによってパワーを与えてくれるが、一方では見ただけではわからない、不思議な仕掛けに満ちた作品もある」。
「(白隠の)特徴は祖師像や菩薩像以外にも、さまざまな画題を描き、ときには漫画と思えるような表現をしていることだ。そこに登場する人物たちには、あらゆる身振り表情をさせ、さらには賛文には謡曲、狂言歌謡、あるいは同時代の流行歌謡などを取り入れている。人々の耳に親しい歌謡を用いることによって、単なる絵以上のもの、いわば視聴覚メディアを造り出しているのである。つまり言語のみならず、絵画、音楽、造形、さらには身振り手振りなどあらゆる伝達手段を用いて、自らの内なる真理を表現しようとしたもの、それが白隠禅画である」。
白隠は、描く絵が独特なだけでなく、その書も型破りです。白隠の墨跡の特徴として、筆画の太さと、斜めに斬り、掃う直線的な表現が挙げられています。「筆画が肥え過ぎて、真っ黒な紙面にわずかな余白が残されていると言ってもいいほど」。
本書のおかげで、白隠の世界にどっぷりと浸ることができました。